7.解けて…絡み合った…?

第7話

16歳の時に花を贈れなかった理由を伝えられて

何故かリーネはリサンナと何かあったと思っていたらしく泣いていた。

なんであるのかと思うと不思議なんだが。

女避けの為にリサンナを置いたなんて口が裂けても言えないけどな。

更に嫌われるのが100%自身がある!!言っていて凹みそうになる。

〔クッキーも手紙も…〕

クッキーも手紙も書いて送りたかった事を知ってメチャメチャ嬉しかったから天にも登る気持ちだった。

「……」

初めてキスを何度も交わした。角度を変えて

「愛おしい」と気持ちを込めて送った。それに

応えてくれる様にリーネも返してくれた。

18歳の誕生日プレゼントは舞踏会のドレスと

母の形見のペンダントを贈った。

「……」

〔奥さんになる人に贈ってあげて。ペンダントがちゃんとその人を繋いでくれるわ〕

「母さん…」

そんな物思いに耽っている場所は家の自分のベットの上だ。

俺は取り返しのつかない事をした。

王太子殿下と婚約者のマリスナ様がお忍びでまた街中に行ってると聞いて、「またかっ…」とゲッソリしてしまったけど普通に2人に何事もなく帰って来てホッとしたけど、王太子殿下と婚約者マリスナ様に言われて血の気が引いた。

〔サン、リーネと貴方の部下の誰でしたっけ?〕

〔リサンナ・トゥイントゥルが街中を歩いていたぞ?〕

〔えっ?〕

その名を聞いて血の気が引いた。今日はリサンナは朝から居るはずだと思っていた。俺の職務怠慢ミスだ!!

〔あらっ?やだ知らないの??〕

〔リーネ殿は連れられてる感じだっ…〕

〔王太子殿下、失礼します〕

王太子殿下の言葉を遮ってリーネとリサンナの元に行く。

〔リーネ、大丈夫だと良いけど〕

〔報告は、お茶会の時にでもしよう。マリスナもその方が良いだろう?〕

〔えぇっ。リーネは好きだもの〕

マリスナはリーネとは学友だけどもそれ以上に彼女を、気に入っていた。

〔どこにいる?どこだ〕

慌てて街中を走るが見当たらない。王太子殿下が最後の言葉を残してくれた。

〔そう言えば路地を…〕

〔路地…湖畔か!!〕

そう思って湖畔に向かったら案の定2人とも居てリーネが無事で安心したがリーネは砂浜に座っていてリサンナは立ち上がっていた。

〔リーネ!!〕

〔サン!!〕

手を差し伸べてリーネを立たせる。リサンナがリーネを呼んだからリーネを見たら首筋に知らない跡が付いていて頭に血が昇ってしまった。怒りの感情が沸々と湧き上がってきてしまいリーネに

優しく出来ないのにリーネは俺の目の前で、

〔はい〕

母の形見のペンダントをリサンナに渡してしまったのを見て更に俺を激情させた。

〔お前は俺のモンだ!誰かに跡付けられてるんじゃねぇーよ〕

ガブッと噛んで俺のもんだ!と跡を強く強く残す。痛いと泣こうが喚こうが俺には構わなかった。

〔お前が誰にやられたか言ったらな!!〕

〔いやっ…痛い〕

誰にやられたかを言葉選びしてる仕草に更に腹が立ち苛立ちが抑えられない。

〔ここもつけておくか」〕

パパッと上半身の服のボタンを片手で脱がす。

〔サンっ!やめて!」〕

〔俺の跡つけるのは俺のだからだろ?〕

〔俺のって…えっ?〕

怒りで本音が漏れたのだろう。リーネが一瞬ビックリした顔をしたけど構わずリーネの胸がプルンッと出て、ガブッと口に含む。

〔んっ〕

リーネの胸の初感触が柔らかくいつまでも含んでいたい。やらしい声に俺に触れられて身体が反応してくれてる事に嬉しくなる。

〔いやらしい身体だな。いつヤッたんだ?俺の夜勤の時か?〕

〔ヤッてないわよ!好きな人に捧げると誓ってるんだから!!〕

〔……そうか。好きな人に捧げるか…はっ。

じゃあ、無理矢理奪うか…〕

〔サンッ!!やめて…〕

俺の知らない蜜の所に手が入り込む。

〔狭いな。指一本って所か?〕

〔痛っ…いやっ…こんな場所で…〕

〔奪わないと他でやられるだろ?〕

〔サンッ…サンロシスト、やめて〕

〔泣いて…何で拒むんだよ!!〕

俺の愛称と俺の名を呼んで助けを求めるリーネの両腕の拘束を解いて芝生に拳を叩きつける。何で拒む!!俺はお前が好きなのに!!

〔私だって…貴方だって…後悔する〕

〔後悔って…俺はリーネと共に居ると約束しただろ?〕

〔してないわよ!!誰と間違えてるのよ!!〕

あれっ?俺言ってなかったか?になってしまった。そして一瞬ふっと考えていたらその隙をつかれて“大事な急所”を蹴られまして激痛です。

〔ーーーっ〕

〔サンだって!!!好きな人とやるべきよ!私はもう無理ですけどね!〕

〔リー……ネ……〕

リーネは急いで服を整えて、俺を見てそのまま走り去ってしまった。

〔そうだ…18歳の時に言おうと思って言っていたつもりになっていた…〕

急所を痛すぎて押さえてプルプルと痛みが治まるまでその場で丸くなっていた。

その後、王太子殿下に無事居たと伝えて仕事に戻った。痛みはジンジンと和らいで言ったけど

リーネに会ったらマジ真面目に謝ろうと思っていた。

もちろん、報告書も書かされたけどな。もちろん、団長も。


「………」

「今日は4人しか居ないからゆっくりくつろげ」

「はいっ…」

「リーネ!そんなに堅くならないで!」

俺・サンロシストとリーネとジャック王太子殿下とその婚約者のマリスナ・ロザルトベス様…その

4人でお茶会していた。

「王太子殿下、今日は俺は…」

「サンロシスト。本日休みを取った」

「はぁ?」

王太子殿下の警護に入っていたと思っていたけど急遽休みになったから何でかなーと思っていたけど深く考えずリーネに謝るのは今度休みにしようと思っていた時だったのに昨日の今日とは何て

残酷なのか?これっ?あれっ?

「リーネ、昨日は平気だったの?」

「ゴフッ」

リーネがマリスナ様に急に聞かれて飲んでいたお茶を吐き出しそうになっていたから慌ててハンカチを渡したらやんわり拒否された。

「ありがとうございます。大丈夫です。サンロシスト様」

「!!」

敬語に戻ってるー!!!敬語に戻ってガックリとしてしまった。それを王太子殿下に見られていたとは露知らず。

「……」

「大丈夫でしたわ。サンロシスト様も来て下さったので」

「そう。良かったわ。サンが急いで向かったから何かあったかと思ったわ」

「いいえ。大丈夫ですわ」

マリスナ様、何か嫌なー予感しかしない。

「愛おしい女性の元に行くなら急ぐもんね」

「!!えっ?」

「マリスナ様っ!?」

ここで俺の気持ち暴露はやめて欲しい。本当にやめて欲しい。

「マリスナ様、可笑しいですわ。私は

サンロシスト様にとっては妹ポジションですもの」

笑ってリーネは答えた。

「ーーっ」

リーネはずっと妹ポジションだと思っていた事に更にガックリした。気持ちをちゃんと伝えてない俺が悪いんだと思うけど。

いやっ、俺ちゃんと行動してる!?あれっ?してる??

「妹ポジション?そうなの?サン」

「そうですね……」

あははっと、笑って誤魔化したらリーネの顔が曇っていたのは気付かなかった俺だけど王太子殿下はリーネの表情に気づいていた。

「サン、ちょっと来い」

「はい。王太子殿下」

王太子殿下に呼ばれてリーネに伝える。

「俺、ちょっと王太子殿下と出てくるからここで待っていて」

「はい。大丈夫ですわ。サンロシスト様」

敬語って壁作ってるから使うなって言っていたのに今は無理か…と肩を落として部屋を出た。


「リーネ…貴女は…」

「だって!!お2人の前で“好き”なんて言えませんよ」

ジャック王太子殿下とマリスナ様の前でサンに

“好き”なんて口が裂けても言えませんよと焦ったらキョトンとしたマリスナ様が見る見るうちに破顔した。

「あははは」

あれっ?マリスナ様、そうやって笑うのですね。親近感メチャ湧きますよ。

「愛おしいも好きに入らないかしら?」

「ゴフッ」

また、お茶を咽せた。

「リーネ、女からグイグイいかないとダメよ?

本当に好きなのかしら?」

「……」

マリスナ様に言われて考えてしまった。

「曖昧な気持ちならあのリサンナ・

トゥイントゥルに譲ったら如何かしら?」

マリスナ様は、お茶を優雅に飲みながらそう私を見てから視線を逸らす。

「ジャック王太子殿下を好きな事だって荒波の中にいる様なもんだわ。あわよくば…なんて日常茶飯事。でも、誰にも取られたくないの。私のジャックで、側に居てほしいのよ」

気持ちがブレない強い一本の芯でジャック王太子殿下を、支えようとしているマリスナ様。

「私は、曖昧なのでしょうか…」

「リーネ、好きな人がいるって奇跡だと思うわ。10歳から好きなのに曖昧なのかしら?」

「いいえ。サンを、誰にも取られたくありませんわ」

「なら、自分の気持ちを伝えるべきだと思わない?」

「はい。そうですね!!女は度胸ですよね?」

「そうよ。背中を押してあげるから頑張りなさい」

「はい?」

「ところで、リーネ、その首の跡は?」

「あっ…これは…」

逃れられないと思って少し省いて説明した。

「はぁ?何なの?その女!!」

「マリスナ様っ。落ち着いて下さい」

「落ち着けって!!頭に来るわ!!リーネがサンを好きな事関係ないでしょ?ペンダントを、人質に取るなんて!!」

マリスナ様は激怒していてやはり親近感を湧く。元々、王族ではなく一般の伯爵の身分のお嬢様がジャック殿下に見初められたのだ。

「まぁ、今はそれ所じゃないけど、頑張って」

「はい。頑張ります!!」

背中を押して告白しろって事ね!!よおーし!頑張るぞぉーと意気込んでいた所にガチャッと音がしてサンロシストと王太子殿下が入って来たけどあれっ?サン、何で右頬叩かれているのかしら?

「リーネ殿。サンの右頬を冷やしてくれないか?」

「あっ、はい。」

冷やしてって王太子殿下…貴方が叩いたのよね?と口が裂けても言えませんので処置をします。

その間隙をついて王太子殿下もマリスナ様も部屋を出て行ったなんて後で知る事になった。


(殿下〜〜)

あの後、殿下に呼ばれて部屋を出たらパーンと右頬を叩かれた。

「お前は、リーネ殿に何で悲しい顔をさせてるんだ!!」

「えっ?」

思い当たる節は一つしかない。

〔妹ポジション?そうなの?サン〕

〔そうですね……〕

マリスナ様にそう言われて慌てて自分の気持ちを知られるのが怖かったから慌ててそう答えた。

「そう聞いたリーネ殿の顔が曇っていたぞ?」

「えっ?まさかっ…」

リーネが俺を好きなんてそんな夢見たいな事。

「お前は、いつになったらリーネ殿に告白するんだ?何年も好きになって告白もせずに…」

「そうは言っても殿下。リーネは大人になったばかりで…」

俺の言い訳に愛想が尽きたのだろう。殿下は耳を疑う言葉を発言する。

「そうか。お前がそういう態度ならリーネ殿は綺麗だから他の男を用意する。すぐに結婚相手が見つかるだろう」

「殿下!!」

「だってそうだろ?15歳の時に一目惚れしてから今も好きなくせに言わないとなるとどうでも良いって事だろ?」

殿下の言葉に胸が突き刺さる。男は度胸だ!と自分を奮い立たせて殿下に膝まつき頭を下げる。

「今日、伝えます!!」

「言ったな?」

「はい。振られたら慰めて下さい」

「分かった」


そうして今に至るのだが、いつ殿下達は去ったんだ?

「………」

「昨日は…」

言葉を発したらビクッとリーネの体が強張った。昨日の事といつ殿下達が出て行かれてこの部屋に2人きりと気づいたから警戒してるのだろう。

でも、言わないと始まらないから自分を奮い立たせる。

「ごめん。跡を見て頭に血が昇った」

「………」

黙って俺の右頬を冷やしてくれるリーネに更に続ける。リーネの視線は俺の右頬。俺の視線は向かい側のソファーを見てる。

「リーネ…」

「何で、右頬を叩かれているの?」

「あっー…これは…」

リーネの顔が曇っていたから気付かない俺を殿下が叱咤した理由なんて恥ずかしくって言えん。

「…後ろ向いて」

「?」

「早く!!」

「はい」

ソファーに座っていたけど途中で冷やすのをテーブルに置いてリーネが言ったから慌てて後ろを向く。

「リー…」

「…す……き…」

「ネ……」

ドンッと勢いよく背中を押されて危うくソファーから落ちそうになったから慌ててリーネの方を向いて聞いた。

「リーネさん?何をして?」

「えっ?マリスナ様が背中を押してって。」

「えっ?」

「違ったの?」

「あはっ」

リーネに俺の気持ちは届いていた。俺の一方通行の気持ちだと思っていた。

「リーネ」

「はい?違ったの?どうなの?」

顔が真っ赤になって焦る可愛いリーネ。

「サン、どこかぶつけてない?」

言葉に勘違いして突き飛ばして慌てて俺を心配して俺の服を掴んで可愛いリーネ。

お前に先に言われてしまった俺は不甲斐ないからちゃんと伝えるよ。

「リーネ、好きだよ」

「………えっ?」

ピタッと止まって俺をゆっくり見る。

「リーネ、聞いてる?」

「………っ」

両頬を包んで額をコツンとして笑った。

「リーネ?」

「聞いて…るわよ…私は…妹ポジションでは…なかったの?」

嬉し泣きと悲し泣きなんだろうか。涙が溢れて流れて俺の手にも濡れる。

「リーネ、好きだよ。ずっとずっと好きだったよ。妹ポジションなんて思った事ないよ」

「嘘っ…。また意地悪言って…。さっき〔そうだ〕って言ったじゃない!」

首を振るリーネに頬を固定させて唇の上で呟く。

「あれはお前が先に言っただろ?だから俺が、

先じゃない。リーネ、好きだよ。愛してるよ」

「意地悪ね…。サ……ン」

俺の隊服を掴んでいる手の力が強くなっていて体中が嬉しいと感じてくれているんだろうか。

「リーネ、可愛い」

「可愛くない…わ…よっ…」

「あはは。可愛いよ」

唇の上で言い合ってどちらともなく唇を更に寄せ合って好きという気持ちを愛してるという気持ちを乗せてキスを交わす。

「んっ…サン…」

「リー…ネ」

ソファーの上にリーネを押し倒して押し潰さない様にリーネを抱きしめる。

「リーネ、リーネ」

「サン、サン、好きよ…」

キスの合間に2人でお互い名を呼んでリーネが俺を好きと伝えてくる。障害はまだ山積みだけど今だけはこの愛おしい娘を…リーネを取られない様に掴み取った俺を褒めても良いよね?

「サン…」

急にリーネの顔が真っ赤になった。

「ごめん。俺の素直だから…」

「バカっ!!」

「ここでダメ?」

俺の体正直だし、良くないか?両思いだしって思ったら更に大きくなってしまった。

「サンっ!!」

「リーネ、大好きだよ」

「そんな言葉に騙されないんだから!!」

リーネは俺から逃れようと必死になっていた。バタバタしてるリーネ可愛い。水に上がった魚みたいだ。

「逃げれると思うなよ?」

「バカっー!!」

パーンと今度は左頬を叩かれた。

「痛ってぇー」

「リーネちゃん。今度は叩かせないよ」

ニヤリと嗤ってリーネの両手をソファーにパパッと縛り付ける。

「サンッ…」

「イチャイチャしたいなー…俺」

「お断りします!!」

フンッとそっぽを向いたリーネの首に触りビクッと体が反応する。

「この跡…もう一回つけようかなぁー」

「えっ?やめて!!」

慌ててジタバタして俺の秘所を蹴ろうとしたけど足を固定させた。

「それ以上付けたら見られちゃう!!言われちゃう!!」

「良いじゃん。もう俺のだろ?」

「そういう事じゃなくって…リサンナさんに…」

「リサンナがどうした?」

「あっ」

俺の眼光が一瞬揺らぐのを見たのだろうか。

「しまった」と顔をしたリーネに手の拘束を解いたらすかさずに両手で口を塞ぐ。

「リーネ…」

俺は、優しく吐き出してやろうと思いリーネの名を呼び首に息をフッーとかけると身体がビクッと反応するのを見てゆっくりと口を塞いでいる両手にキスを落とす。

「可愛いリーネ」

「ーーっ」

「リーネ、愛してるよ」

フルフルと首を横に振るリーネに、小指の爪にも他の手の指にキスを一本一本落とす度に顔が真っ赤になっているリーネ。

「まだ足りないなら…足にも」

ススッーと手を上から下に沿って移動させる時もリーネの体がビクビクッと反応する。

「それは、やめて」

「なら言って?」

手の上でお願いをした。

「〜〜っズルイっっ」

「ズルイ?なら、言って?」

「この跡は……」

口を抑えていたのを解いて震える片手で跡を触りながら俺を見る目から涙が溢れてきている。

「リーネ」

起き上がってリーネを胸の中に入れる。隊服をギュッと握りしめる拳に力が入る。その反動で涙は流れてしまったけど事情は何となく察した。

「もう、それ以上思い出さなくっていい」

「ごめん…なさい…サン…」

俺の胸の中で震えて泣いているリーネ。

(リサンナ!!)

リサンナに何かされたと察した。俺の可愛い

リーネを優しく抱きしめる。

その後は、乱れてしまったのを急いで整えて何食わぬ顔で王太子殿下達も入ってきて来たのを待ち構えていた。

「どうだった?」

「ちゃんと言えた??」

と怒涛の質問攻めの2人から俺とリーネは終始恥ずかしくお互いの顔を見れなかった。

「リーネ、そろそろ帰る時刻かしら?」

「そうですね。帰ります」

リーネも質問攻めに魂を抜かれてグッタリしていてヨロヨロしながら答えた。質問した2人はキャアキャア女子並みにテンションが高かった。

「リーネ、俺はこのまま仕事入るから」

「えっ?大丈夫?」

リーネが心配してくれた事に嬉しくなった。

「ああっ。大丈夫だ」

髪の毛を一房掬い取って口づけを落とす。

「気をつけてね」

「じゃあ、私が送るわー」

「頼んだ。マリスナ」

マリスナ様がリーナを家まで送る事になった。

「そんなマリスナ様っっ!!私は平気ですから」

「何を言ってる!俺のリーネに何かあったら俺は…俺は…」

あれっ?なんか泣けてきたよ。どうしたら良い?と顔をしたらリーネが俺を見てあからさまに

「はぁっー」とため息をついた。

「あっー…分かりました。お願いします。マリスナ様」

「よかったわー。まだ聞きたい事あるのよー」

「え”っ…」

「リーネ、愛してるぞ」

「私は、お断りします」

「リーネ………」

パタンッと無情に扉が閉められた。あれっ?俺って愛されてなかったパターン??おかしいなぁー…。なんか涙が出てくるような…それかもう出てる?

「サン…」

「ジャック殿下」

ポンっと肩を叩かれて同情された。きっと夢だった?夢だったんだな。うん。俺きっと疲れてるんだよな…と遠い目をする。

「……さぁて、芝居はこの辺にするか?」

殿下が静かに言って俺は膝跨いて頭を下げる。

「そうですね。殿下、ありがとうございます。

捕らえてもらえて」

「私情は挟んでないつもりではいるが身分のある者が抵抗を許さずに相手を傷付ける事は許し難いからな」

「………」

リーネは、マリスナ様に話していたらしくそれをジャック殿下の耳にも入れたからリサンナを捕らえる事になった。捕らえる事に関してリサンナは抵抗しなかったと聞いた。いろんな想いを巡らせながらリサンナの幽閉している塔へ登る。

「………」

「刑はまだ軽い方だ」

「はっ」

ジャック殿下の眼光が…王族特有の継承第一の証明の金色がキラッと光に反して光った。

「リサンナ・トゥントゥル、そなたは、この国に対して数々の事をしてくれた。だからそなたが何か謝る事があるなら申し立てよ」

リサンナの今の刑は百叩きでまだ軽い方だ。これがそれ以上思い罪になると骨をバキバキに折って爪を全部剥がし勿論抵抗も言い訳も聞かない。そして、首吊りの刑だがこれは死なせる為でなく、首をギリギリと極限まで締め上げていく。気を失ったら水をぶっかけてまた正気に戻す…。それ以上になるともっと残酷になる。

「……」

ズタズタに赤くなってポタポタと流れている背中を見ても心一つ動かないと言う事と何も感情が動かない。ここまで来るのに想いを巡らせていたがそれがサァーッと風が吹いて記憶を巻き込んで真っ白で消えた記憶になった。これがリーネなら

ザワザワと胸が騒ぎたつけどリサンナだと思うとスンッと鎮まるから面白いものだと嗤ってしまった。

「サンロシスト…強者だな…」

「殿下も。俺は見慣れてますから」

そう。こんな光景は見慣れている。生死の境に居る俺の立場は脆いもんだ。俺が正常でいられるのは〔サンのバカっ!!〕とリーネが笑って俺の側に居てくれるからだ。思いにふけていたらカチャッと剣が柵に当たったらリサンナが反応した。

「あらっ…。王太子殿下…にサン…」

「…リサンナ・トゥイントゥル、何か謝る事が…」

「殿下危ない!!」

リサンナが、何かを投げつけようとしたから急いで殿下を庇う。

「サンロシスト!」

「殿…下!大丈…ですか?」

「あぁ。そなたのおかけでな」

慌てて剣を抜いて殿下を護れたから良かったが投げられたのは剣だった。

「衛兵!!!奴を締め上げろ!」

「サンロシスト…貴方を愛してるのに」

「残念だな。俺はお前を愛してない。

トゥリーネ・ロータを愛してる」

殿下を肩に抱えながらリサンナに言ったら、

リサンナは目を見開いて柵に近付いて俺に触ろうとしたから剣を抜く。

「ぎゃぁぁぁぁー」

「触るな。汚れる」

リサンナの右手を切り落とす。

「サンロシスト、出るぞ」

「あなたのお…母様の形見…はどうする…のかしら?……」

はぁはぁと息遣いの荒いリサンナが言葉を紡ぐけど気色悪い。衛兵が急いでリサンナに処置をするけど血が止まらないので慌ててる。

「母さんとの約束はそれだけじゃない。お前に最後まで伝える訳ないだろ?」

「嘘でしょ……?!サン!!サンロシストーーー」

幽閉されている塔で、リサンナが叫ぶけど気持ち悪い叫び声だ。

「殿下、大丈夫でしたか?」

「ああっ。大丈夫だ」

「ジャック!!」

マリスナ様がリーネを送って来たのだろう駆け寄って来て抱きついた。

「マリスナ、リーネ殿は?」

「送ってきたわ。ちゃんと鍵を閉めてねって言っておいたわ」

「マリスナ様…」

マリスナ様には全てお見通しだったらしい。

「気持ち悪い声ね。リーネが聞かなかったから本当に良かったわ。サンロシスト、ありがとう。ジャック殿下を、護ってくれて」

「いいえ。臣下として殿下の護衛として当然の事なんですけども…」

なんだか不思議な感覚だった。

「お前、よく分かったよな?リサンナ殿が投げる事」

「それが俺にも不思議な感覚でして。頭の中で〔危ない〕と…懐かしい声で」

「そうか」

「はい」

そう。懐かしい声で〔危ない〕と聞こえたから不思議な感覚で、怖くもない。ただ懐かしい声。

「とりあえず、報告は明日だ!刑をもっと重くする」

「はっ。殿下」

膝まついて頭を下げて命令を聞いた。

1人部下を失う事は痛手だけどただただそれだけ。それだけの感情でそれ以上でもそれ以下でもなかった。


「………んっ…んんっ…」

自分の家の自分の部屋で寝ている時に心地よい夢に入っていった。

〔母様ー〕

〔サンロシスト、奥さんになる人に贈ってあげて。ペンダントがちゃんと繋いでくれるわ〕

母さんから母さん自身の同じ瞳のペンダントを首にかけて貰った。

〔わぁ。母さんと同じ瞳〕

〔サンロシスト、繋いでくれたらきっと貴方とその妻になる人を助けるわ〕

〔??〕

母さんは優しく俺を撫でてくれてそう言った。

〔ーーちゃんだと良いわね〕

〔ーーが俺の嫁だといいな〕

ふふっと笑っている母さんと俺は草原に居た。サワサワと風が吹いて心地よい。

〔母さん、眠くなったよ…〕

〔サンロシスト、今はゆっくり眠りなさい。ーーちゃんを助ける為に〕

母さんの膝枕で眠ってしまった俺を見てる俺。

〔サンロシスト、私はもう長くはないわ。あなたの奥さんを見れなくてごめんなさい。でも、きっとーーちゃんだと信じてるわ〕

俺の髪をサラッと撫でてくれてる母さんと俺。

「母さん!ーーちゃんって誰だ??」

そう叫ぶと夢から引き離されて現実世界に戻って来てしまう。

「はっ!!」

ガバッと飛び起きても嫌な気持ちにひとつならずに幸せな気持ちになるけど、起きると何を見ていたか忘れてしまう。

「なんの夢だったんだ?」

好きだと、愛してると伝えただけだから一緒に寝ちゃいけない。それは分かってるけども。

〈……どーして?いるのかしら?〉

〈両思いになったから一緒に寝ようと思ってな〉

少し遅い夜に忍び込んだ。リーネの部屋でリーネは起きていた。眠そうな顔が可愛い。

〈サンロシスト様…が自分の部屋で寝てください。ココは私の部屋?ですから?〉

〈い・や・だ!!ここで寝る〉

小声で話している俺とリーネ。リーネは自分の部屋に帰れと冷たくあしらう。でも、眠そうなのかちよっと支離滅裂な気がする。俺はリーネと一緒に寝たいと駄々をこねる。

「もおー…」

リーネが、折れてくれたのでそそくさと布団の中に入りリーネに「おいで」と誘うと寝ぼけているリーネは素直に俺の腕の中にスッポリと入る。

「……」

トクンッ…トクンッ…と規則正しい心臓の音が二つ部屋に響いている。

「明日、仕事…がんばって…ね…」

「リーネも、学校頑張れよ」

リーネはそう言ってスゥスゥと寝息をたてて眠ってしまった。

「リーネ、必ず守るから」

リーネをもっと抱き寄せて目を瞑る。


リーネ、お前が居るから俺は正常でいられる。

寝てる間も逃げられないように捕まえておくよ。


勝負はこれからだと思ってる。

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