第5話
通話が終わると、響はスマートフォンから青い鳥のSNSアプリを立ち上げる。主に愚痴を呟くための裏アカウントに思いの丈をぶつけた。
“ストーカー行為は無くなったのに、私は嘘をついてあの人に甘えている。善意を利用している私は最低だね”
泣く権利はないと頭では理解しているが、眦に大粒の雫が溜まり、頬を伝っていく。
「解放してあげられなくて、ごめんね……もう少し近くに居させて欲しいの……あと少しだけ悠くんを独り占めすることを、許して……」
本人に届かない謝罪を、肩を震わせてしゃくりあげながら呟いた。
はらはらと涙を零しながら、響は決心を固めた。
(縁日の日、悠くんに告白して振られよう。仮の恋人関係は解消するの。再会する前のひとりぼっちに戻るだけだよ)
スケジュールアプリを覗くと、縁日の日まで十日を切っていた。
(一緒にいられるのあと少しなんだ……)
切なさと寂しさが響の胸を締め付けさせる。緩みっぱなしの涙腺が更に刺激され、次から次へと透明な雫が滴り落ちていく。
響はベッドに横たわり、さめざめと泣き続けた。
静かな嗚咽は眠りに落ちるまで続いた。
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