第86話

カタンコトン

カタンコトン...

「ダサくねーよ!」

「えっ?」

「今日の花梨、むちゃくちゃ可愛い!」

花梨は、真っ赤になった。だけど...

「私と宇久じゃ、不釣り合いだよね...。」

「何言ってんだよ!子は親を選べないだろっ!それに、貧乏だろうが金持ちだろうが花梨は花梨だろ!」 

宇久の瞳は、真っ直ぐ花梨を見つめる。

「僕は、花梨じゃなきゃ嫌だ。」

花梨は、勇気を振り絞って言う。

「私も宇久じゃなきゃ嫌。」


「着いた。」

「うわぁ~。なんか不思議な感じ。宇久と一緒だからかな。」


「そうだよ~。花梨ちゃん!」

「うるさい!歳子!」


「神様。ありがとうございます!花梨と出会わせてくれて。」

花梨は、照れる。花梨も同じことを言った。

「ついでだ!花梨。神様にお願い事でもしたら?」

「うっうん。じゃあ...。」

「何、お願い事したの?」

「私のお父さん、売れない小説家で、今度の小説で幕田川賞取れますようにって。」

「ふ~ん。花梨のお父さん、小説家なんだ。取れるといいね。」

「うん。」


二人は帰路についた。


「信長!聞いた?幕田川賞だって!」

「ああ。また、お前なんかする気か?」

「もちっ!」

「おせっかいめっ!」

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