第85話

「ねぇ。信長。宇久と花梨ちゃんの様子を見に行かない?」

「そうしてみるか。歳子。」


日本。

「花梨、いつ伊勢神宮参ろうか。」

「いつでもいいよ。」 

「じゃあ、来週の日曜日、花梨の家に迎えに行くよ。」

花梨は、ちょっと表情を変えた。

「?」 

「学校で待ち合わせしよう。」

「いいけど、それでいいの?」 

「うっうん。」

花梨の家は、貧しく、ぼろいアパートに住んでいることを宇久に知られたくなかった。

実は、宇久はというと、大企業の御曹司。


待ち合わせの日ー。

「花梨、待った?」

「ううん。今、来たところ。」

すると、幼なじみの声がする。嫌な予感。嫌な予感は的中した。

「やだー!花梨じゃないっ。相変わらず、ダッサーい格好!」

これでも、宇久とのデート。お洒落してきたのにな...。恥ずかしい。

「花梨の家、貧乏だから服買えないのね~。」

「黙れっ!」

「キャーッ!宇久御曹司様!私と遊びに行かない?花梨なんかとじゃ不釣り合いよ。」

「うるせー!この目狐が!」

「まっ!何ですって!あなたの家の会社なんか潰れるといいわっ。そしたら、貧乏人同士、お似合いよ!」

宇久は無視。

「行くぞ、花梨!」

「うん...。」

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