第87話

選考会。

「どれも、いい作品ですな。」

「先生。今回の幕田川賞どれにしましょうか?」

 

「花梨ちゃんのお父さん。」

「花梨ちゃんのお父さん。」


歳子は、ぶつぶつ言っている。  


「今回の幕田川賞は、これだ!紅の色!」

それは、花梨の父親の作品だった。


「たくっ。歳子。」

「私は、ぶつぶつ言っただけよ。」

「しらばっくれるなっ。」


「あなた、良かったわね。」

「ああ。お前達には、苦労かけた。」

「お父さん...おめでとう!お父さん!」

「ありがとう。花梨。」


「うふふっ。」

「でたぁ。」

「だって、嬉しいんだもんっ!」


「花梨~!」

あの幼なじみだ。

「花梨のお父さんって凄いのねぇ~。私、」

宇久がその幼なじみをさえぎる。

「行くぞっ。花梨!」

「うん!」


「満足か?歳子。」

「うん!」

「帰るぞ!」

「うん!」

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