第57話

鈴はあれ以来、登校拒否するようになった。

そして、毎日リストカットの日々。

「鈴、精神科に行こう。」

「嫌よ!父さんっ。」

「でもこのままじゃ駄目だ!」

「昌景のいない世界なんて、生きてる意味なんてないっ!」

「鈴!行くぞ!」

「嫌ーーーッ!」

鈴の父親と母親は、鈴を無理矢理、精神科へと連れて行った。

精神科の医師は、言った。

「重度の鬱病ですね。入院しますか?」

「嫌です!」

「お父さん、娘さん入院させますか?」

「心配なので、お願いします。」

「では、医療保護で入院させましょう。」

医療保護とは、本人が退院したいといっても、家族の者などが許可しないと退院できないのである。鈴の場合、自分から入院するって言わなかったので医療保護入院になってしまった。ちなみに、自分から入院するって言った場合、本人が退院したいと言った場合、退院できるのである。こちらは、任意入院だ。


鈴は、隔離された。小さな部屋に布団だけが敷いてあって、自分では流せないトイレがあるだけだ。監視カメラもついている。かといって、常に見られているわけじゃない。


鈴は、泣いていた。昌景と。

 

1時間に1回は、看護師が様子を看なくてはいけないのに、看護師は鈴を放置したままサボっていた。あまりいい病院じゃない。

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