第75話

「それでも薔薇の運命を受け入れなければならないわ。薔薇であってもなくても、わたしはその運命を受け入れると思う」


「君がヒトでも?」


「ええ」


 黄薔薇は相変わらず笑っていた。白薔薇は、苦悩する顔を隠さずにわたしを見、静雄を見、つぶやいた。


「黄薔薇の意思が固まっているようですから、わたしはその通りにします」


「わたしはいつでもいいですよ。雌しべが成長してきているから」


 黄薔薇が笑って言う。でも、とわたしが言う。


「黄薔薇と白薔薇はわたしの薔薇なのよね。わたしが駄目だと言ったらしないのよね」


 静雄に笑いかける。静雄は目を逸らし、答える。


「黄薔薇に受粉させたいと言ったのは沙良だ。おれはそれからずっとそのことについて考えてきた。それに黄薔薇たちに訊いてみるといいよ。沙良の意見を必要としているかどうか」

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