第64話

「あなたたちの体は、きっとこの場所で土になるわ。ちゃんとお葬式もする。あなたたちのことも忘れない。大丈夫。大丈夫だから」


 黄薔薇は目を丸くしていた。しばらくして、にっこり笑った。ありがとうございます。そう言った。


「でも、どうして知ってるの? あなたたちの寿命を」


「白薔薇は、覚えているんです。昔のことを。研究所にいたことも、仲間の薔薇たちのことも、体をばらばらにされたときのことも、全て」


 黄薔薇が答えた。表情が曇っている。白薔薇はいつもの顔だ。いつもの、憂鬱そうな顔。


「わたしたちは人の手で作られているし、管理されています。それは何となく、不思議なことです」


 少し笑う黄薔薇。彼女は大人びていた。この間の一言も、子供ではなく少女らしいからかいだったとやっとわかった。

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