第63話

「わたしたちは知っているんです。わたしたちが死ぬ時期を」


 わたしは驚いて彼を見た。彼はその端正な顔立ちをわたしに向け、そうだ、と言わんばかりにうなずいた。


「十二月には死んでしまいます。わたしたちは完成品の第一号に過ぎませんから」


 わたしは何も言えなかった。彼らに言葉を与えるとして、何を言うことができるだろう。わたしは彼らより長い人生を生きているし、これからも生きるのだ。


「沙良さん」


 黄薔薇が口を開いた。その声はやはり正確だったが、不安がにじんでいた。


「わたしたちが死んだら、同じようにしてもらえますか?」


「同じようにって?」


「お葬式です」


 白薔薇が黄薔薇の代わりに答える。わたしは少し泣きそうになる。素直な感情が、漏れ出してくる。

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