第57話
わたしは周りを見渡した。ふと見ると、机に写真立てがあった。父はわたしの視線を追ってそれに気づくと、手に取って表を見せてくれた。義母と父とわたし。わたしたちを映した動画をキャプチャーしただけではこのように三人が正面を向いて並ぶことはない。このような写真を撮った記憶がないので、わたしは不審げな顔をしただろうと思う。
「覚えてないか? ゆかりが家に来たときに撮った写真だよ。全員、不安げな顔をしてるね。そうだな。いきなり家に他人がやって来たんだから、戸惑うよな」
父が笑いながら説明した。わたしはようやく納得した。今より二歳ほど幼いわたし。怒ったような顔をしている。義母は泣きそうな顔。父はどうしていいかわからない顔。
「朝起きたらゆかりがベッドの隣に寝ていた。驚いて公式サイトを開いたら、わたしの妻だと説明してある。そうなのか、と納得はできない。しばらく呆然とした」
わたしは意外に思い、そのあと納得した。父はわたしと同じ人間なのだから、そうなるのは当然だ。
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