第46話
「あれ以上手を加えてやりたくない。自然なままでいさせたいんだ」
そう、とわたしはがっかりしたような声で答える。静雄はわたしの様子を見てほっとしたようだが、わたしは、断固として実行するつもりでいた。
庭一杯に広がった静雄の薔薇たちが、風にそよそよと揺れている。
*
ヒト薔薇について、インターネットで調べた。発売されたばかりの品種だからか、情報が少ない。わたしたちの庭に黄薔薇たちがやってきたのは、視聴者への宣伝のためなのだろう。しかしヒト薔薇の開発会社のホームページには、受粉の仕方がきちんと載っていた。何だ、普通の薔薇と一緒じゃない。わたしはそうつぶやき、立ち上がった。深夜二時。ぬるいココアが飲みたかった。
「あら、沙良さん。どうしたの?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます