第30話
「黄薔薇を大事にしなきゃ」
優しい声だ。
「だって、黄薔薇がわたしは生きていないようなことを言うから」
声は、涙声だった。静雄は困った顔でわたしをどう扱うか思いあぐねているようだった。仕方がない。彼はまだ十七歳の少年なのだ。
「そうなの? 黄薔薇」
「沙良さんはわたしにタマシイがないことを言って威張りました。わたしはタマシイのことがわからなかったので、思ったことを言いました。それだけです」
思ったこと? 植物が? わたしは嘲笑する顔になったはずだ。静雄は険しい表情になった。
「沙良」
「わたしは悪くないわ。黄薔薇がわたしを怒らせたんだもの」
「沙良、黄薔薇はまだ蕾なんだ。子供なんだよ」
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