第27話
第一、黄薔薇の感慨は彼女が植物であるという点から来ている。わたしとは相容れない。
「沙良さん」
また黄薔薇がわたしに話しかけた。わたしの視線は森へ向かう。奥へ奥へ。それでも黄薔薇は話し続けた。
「あなたはどうして笑わないのですか? 生きるということはこんなにも楽しいのに。太陽がわたしを照らします。葉緑体がわたしに光を巡らせます。わたしは生きます。生きています。こんなに楽しいことが、他にありますか?」
「うるさいわね」
わたしは声を荒らげた。あなたは生きていない。そう言われているようで腹が立った。わたしは生かされているのだ。カメラの向こうの存在によって。そしてわたしは人生を生きるようにはなっていないのだ。それだけのことを叫ぶ代わりに、わたしは静かに意地悪く笑った。黄薔薇が首を傾げる。
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