第47話

真咲は薬の正体を調べるため、まりもの手を借り、極秘に外部とやり取りをした。


ひろむが休んでいる次の間で、声を潜め真咲に詰め寄る三人。


「極秘で、薬の鑑定をとの御用事」


「霧様に、何か病でも?」


真咲は、まだ確証の取れていない事を話していいものか迷った。


今後の注意を促す意味で、もりえ達に伝えておきたいとは思ったが、ひろむの耳に入ることを考えると言えなかった。


しかし、もりえの酷く心配そうな表情を見ると、黙っている事への罪悪感で一杯になる。


「霧様は今までお倒れになった事などないし、体調もめったに崩されなかった」


「何か御存知なのでしたら、どうか・・・」


真咲は、どうしてこんな事に、と胸を詰まらせた。

声を出そうとすると、涙が溢れてきて、周りを驚かせる。


涙声を潜めながら「どうか御台様には内密に」と、顔を寄せ合うと・・・


「真咲、私にも聞こえるように話しや」


寝所の襖を開け、話に加わろうとひろむが立っていた。


「御台様、起き上がってはなりませぬ!お加減はいかがですか?」


「もうなんともない・・・喉が渇いたから、いつも瀬奈が持ってくる、あのお茶をくれないか?」


ひろむの食後に必ずと、瀬奈から預かった茶葉があったが、動向を疑い出してからはお出ししていない。


「まだ本調子ではないのですから、今日はお白湯にしましょう」


温かい白湯を口にして、大分顔色が良くなったひろむに安心しつつ、床へ戻るよう促すが


「真咲、先程の話を」


とても、面と向かって話せる内容ではないため、黙り込む真咲。


真咲が外部へ薬の鑑定を依頼したという話を聞き、首をかしげるひろむ。


「内密にとは・・・何の薬なのだ?」


「・・・・・」


「真咲!」


「御膳所に・・・」


更に問い詰められて、ひろむの御膳が一時保管される小部屋で薬包を見つけたため、念のため調べているとだけ答えた。


「まさか・・毒?」


ひろむは、食事の後に気分が悪くなった事や、食事の味に違和感を覚えた事を思い返す。


「いったい、誰が?」


何も答えない真咲を一瞥すると、ひろむは立ち上がり部屋を出る。


「御台様!」

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