第24話

やけに青白い、月の明るい夜だった。


ただ寄り添って眠るだけの事も多い寝所の二人は、庭先の気配に気がついた。


庭番がざわめき、ひろむは寝具から飛び出した。


「ひろ、ここに大人しくしていろ」


制するゆうひを押しのけ、乱れた寝巻きの腰紐を締め直し、ひろむは庭に面した障子を勢い良く開いた。


月明かりの下裸足のままで、死んだ兎を片手にぶら下げたざんばら頭の少女が立っていた。


無邪気に笑う表情はあどけない、それがかえって不気味で庭番達も近づけない。


じっと見つめ、悲しそうにすみかが言う


「ゆうひ様・・・兎が動かない」


驚いて腰を抜かすひろむの前に立ったゆうひは、悲しげに笑う


「ゆうひ様が、お世話を忘れるから」


「そうだな、忘れてすまなかった」


すみかの手を引き歩き出すゆうひは、靄の掛かったような眼をしていて、ひろむは怖かった。


「ゆうひ殿!」


素早く振り向いたすみかが、ひろむに鋭い眼を向ける。


ゆうひは振り向かずに、すみかと共に自室へ戻って行った。



茫然と涙を流しているひろむを、駆け寄って抱いたのは真咲。


それを眺めながらりおは、中庭の向こうの屋根の上に、忍びのような黒い影を見つける。




つづく



ちょっと闇が広がる感じにしてみました。

こういう時代、絶対トート様はどこかに居たはず。


みりおがすっかりエロキャラですみません。


好評につき復活、予告。





第五話?予告



「最近、瀬奈様がよく御膳所に忍んで入られているとか」



「霧様に極秘の文が届いておりますが・・・悪筆で読めませぬ」



・・・突然引付けを起こして倒れ込み、全身を痙攣させながら意識を失うひろむに、ゆうひは蒼白となった。




重い展開になりそうです。

エロ担当には、頑張ってもらいたい。



第四話 おわり

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