第6話

「御台様はお疲れのご様子、湯浴みの準備を」


瀬奈がパンッと手を叩くと、廊下に控えていた女中たちがいそいそと動きだす。


「本日は早めにお休みください、明日からは忙しくなりますぞ」


怪しげな微笑みを残し、瀬奈と二人の女官は部屋を後にした。


湯浴みも侍女達のなすがままにされ、そこでももりえ達と侍女の一悶着があり、いい加減疲れた。


廊下に面したこの部屋と、自室となる奥の間、その隣でもりえ達が寝起きする事が許され、とりあえず眠れる。


まだ何も見えて居ないが、毎日が戦いになりそうな事だけは分かった。


瀬奈から渡された、大奥の歴史や習わしが記された書物を手に、翌朝までに全て読み切って実践してやると小さく決意。


負けるわけにはいかない、里や供の者達のために、何より自分のために。


つづく




第二話 予告


「上様とのお褥の前に、お作法とお身体の検分がございます」


「いつも瀬奈様は見ているだけでしたのに、今回はお一人でなさるとか!」


「私も実は西の街で拾われたんですわ、だからお国言葉が懐かしかった」


「あさこ、お前らしくもない、まるで妬いてるように見えるが、誰にだ?」



第一話 おわり

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