第3話
「言うた?」
千歳は何の前置きもなしに訊いた。おれは首を振る。お互いの靴が地面をぴちゃぴちゃと鳴らす。
「言うとらんとならどがんしたと?」
「ラッキーが死んだ」
おれが初めて発した一言に、千歳の体は強張った。一重まぶたのすっきりした切れ長の目が、目一杯開かれる。
「え、何で? ラッキーこの間まで元気やったやん」
「事故。一昨日脱走したさ。帰ってきたときよろよろしとって、多分車にはねられたとさ。昨日死んだ」
「何で教えてくれんやったと!」
千歳が立ちどまり、鋭く叫んだ。おれは千歳が歩き出すのをじっと待った。彼女は頑として動かない。仕方なくおれは話す。
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