世界との関わり
第6話奴隷の子らの解放と、少し世界を知る
「ふぁ~~……ん?」
夕方目を覚ますと森の中に入ってきている謎の集団。
シルヴィーナが一緒に居る。
「ああ、行商か」
私はひょいひょいと移動しながらその場所に向かった。
「シルヴィーナさーん」
「梢さん! 助けてください!」
「オウイェ⁈」
急に言われて変な声を出してしまう。
「愛し子様ですか、貴方様が……」
シルヴィーナとどこか似た雰囲気のエルフが居た。
「梢でいいです、えっとどちら様?」
「私はシルヴィーナの兄のレイヴンと申します」
「レイヴンさんですか、どうぞ宜しく。で、シルヴィーナさん、どしたの?」
「兄様が! 奴隷にされた子ども達を保護したのですが、衰弱が激しく!」
ええー!
いや、やっぱり奴隷とかいるんだー!
しかも子ども⁈
胸くそわりぃ。
「見せてもらえます」
「はい」
馬車の中には六人の子ども達がぐったりと横たわっていた。
えーと、こう言う時は……
神様に電話する。
「もしもし神様⁈」
『分かっている、子ども達の件だろう』
「よっしゃ話が早い」
『彼らを衰弱させている奴隷の証、隷属の首輪だが、お前が触れば壊れるはずだ』
「で、元気にさせるには⁈」
『作物で作ったものを与えろ、例えばジュースとか、もしくは柔らかい果物』
やっべ、ブルーベリーとかラズベリーとかジュースにできるのは全部ジュースにしちゃったよ!
いや、待てジュースとか、と言っていた!
「ありがとうございやす!」
『ではな』
通話を終えて、アイテムボックスからジュースの瓶と、コップを出す。
「これ持ってて」
「は、はい」
私は呻く子どもの首輪に触った。
パキン!
首輪はヒビが入り、砂になった。
「おおー」
「なんと⁈」
「他の子も……」
他の五人の子ども達も、首輪を破壊する。
そしてジュースを受け取り、コップに注ぎ獣人の血を引いてるらしき子どもに飲ませる。
「頑張って飲んで!」
こくりと喉が動くと、かっと目を見開き、その少年はあっという間にジュースを飲み干した。
「美味しかった」
「うん……!」
そう言うとボロボロと泣き出した。
「他の子にも飲ませてあげて」
「はい!」
シルヴィーナは別のジュースの瓶とコップを受け取り、飲ませてあげ始めた。
私はもっとと欲しがる少年にジュースを飲ませる。
「おいしい、おいしい……!」
「ゆっくりで良いからね」
「梢様」
「ここだと心配だから居住区の中まではいっていいよ」
「有り難うございます」
馬車が動き出す。
居住区まで来ると私は急いでクラフトする。
医療施設。
医療できる人はいないけど、十人分のベッドがある位の大きな施設を。
「あの、ここは……」
「とにかく子ども達を中に!」
「は、はい!」
ジュースの影響か子ども達はすっかり元気になっていた。
私は併設しているお風呂に子ども達に入るよう言う。
が、三人の女の子を除いてお風呂がなんなのか分からないらしくきょとんとしていたので、取りあえず、女の子三人はお風呂に先に入って貰った。
その間に、急いでメーカーを作り服を作る。
糸とか布とかはあるので、三人分の綺麗な洋服と下着を作れたので持って行く。
「はい、これに着替えて」
女の子二人が、白金色の髪に、青い目の少女に着せてから、自分達も着替える。
それを見届けてから、男の子達をお風呂に入れて汚れを洗い流す。
そして急いで服と下着を再度三人分作り、持って行く。
「はい、着てねー」
と言って着せていく。
服を着せ終えて一段落付いた私はふぅと息を吐く。
「私は梢。梢、御坂。貴方達のお名前は?」
「わ、わたくしはイザベラ。イザベラ・ドミナス。ドミナス王国の第六王女です」
「へ? つまり、イザベラちゃんは王女様?」
イザベラちゃんはこくりと頷く。
マジで⁈
というかなんで王族が奴隷に⁈
「どうして奴隷に?」
「わ、わたくしたちはイザベラ様のこんやくしゃムーラン王国の第一王子のロランさまがいらっしゃるムーラン王国にいくと途中馬車がたくさんのひとたちにおそわれて……」
「うう……」
「よしよし、頑張った、頑張ったね!」
「こずえさまはわたくしをうらぎりません?」
「裏切らないよー、おむかえがくるまでここに居ていいよー!」
迎えが来るかはしらん。
「ところで言ったのはいいけど、迎えとか来る?」
「それは……」
またスマホが鳴る。
「はい」
『ほっほっほ、わしじゃよ。その娘、王女には王家紋という探知の魔法がかけられておる。隷属の首輪で妨害されとったが、今は探知できるからそのうち助けがくるじゃろうて』
「教えてくださりありがとうございます!」
『他の子等も導きがあるからそれまでは居住区でのんびりすごさせてあげるといいとおもうんじゃが』
「はい!」
通話終了。
「ところでここはどこですの?」
「ここは『始祖の森』。全ての始まりの『神森』ですよ、小さき子等」
「しそのもり⁈」
「で、でもおうちたってるよ‼」
子ども等でも知ってるらしい、なんかこの森の事。
「ええ、ですが神の愛し子である、梢様がいらっしゃってから開拓が始まり、少しずつ村の形になっているのです」
シルヴィーナさん、買いかぶりすぎです。
「でも、どうしてしそのもりでいとしごさまはかいたくを?」
「ははは、色々と事情がありましてね」
「──愛し子様は吸血鬼なのですよ」
ちょ! シルヴィーナさーん‼
子ども等めっちゃ驚いた顔してる!
「え、きゅうけつき……」
「でもすごくあたたかかったよ?」
「愛し子様は他の吸血鬼とは違うのです、愛し子様は畑を耕し、家畜を飼いそれらの糧で生きています」
「本当?」
「あーうん、ブラッドフルーツは美味しいなと感じるけど、頻繁に食う程でもないよそれよか腹減った食事にしよう」
「はい!」
「梢、シルヴィーナ、ジャイアントディアーの肉を取ってきたが……」
アルトリウスが狩りから戻って来た。
「お肉!」
「よし、少し豪勢に行こうか、アルトリウスお肉頂戴」
「ああ」
私はお肉をもらい、焼いた。
葉野菜をパンと挟んでサンドイッチを作る。
そしてオレンジジュースを紙コップと一緒に持って行く。
「ちょっと遅い夜ご飯だけど、食べちゃいましょう?」
と子ども達にサンドイッチを渡して、シルヴィーナさんにも渡す。
行商の人達は人達で食べてるらしいから問題ない。
「さて、続きだけど、お名前聞いていい?」
子ども等はサンドイッチを食べながらこくこくと頷く。
「わたしはリーゼ。イザベラ様のメイドです」
「わたくしはミーア。リーゼと同じくイザベラ様のメイドです」
「なるほどー」
私はおかわりを所望する男子組に向き直り、おかわりのサンドイッチをあげて話しかける。
「君達は?」
「おれはルフェン。ドミナスおうこくにあるじゅうじんぞくとにんげんがすむ村ガットにすんでたんです。でも、あるひむらにならずものがやってきて……ちょうどかりに父ちゃん達は出掛けてたからおれたちつかまったんです」
「なんて酷いことを」
「でも捕まったのが俺と、ミズリー、ラカンでよかったよ、もっと小さい子もいましたから……」
ルフェン君とミズリー君は獣耳を耳をしょんぼりさせ、ラカン君は顔をしょんぼりさせました。
「……貴方達も早くお迎えが来てくれるといいね」
「はい」
教の所は医療院のベッドで眠って貰うことにした。
明日の為に素材集めないとなぁ、とか考えながら開墾と畑作と畜産にいそしむ私であった。
うーん、スローライフじゃねぇなぁこれ。
と、トラブル続きに一人思ったのは内緒だ。
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