第6話

真っ青な髪は確かに入学式の時に見た。誰よりも目立つ色、そして飛びぬけて身長の高かった彼は存在感があった。そして今目の前にして、その身長が高いことを実感させる。



あの時は右目が金色に光っていたはずだけど、今はどちらも黒目。その怖い瞳で見つめてくる様子はとてもじゃないけど、怖すぎる。



そんな状態な私の気持ちが全く理解できていないのか、父は嬉しそうに『仲良くしろよ』と肩を組んでくる。いや、仲良くしろよじゃないよ。こんな怖そうな人と仲良くできるわけがないじゃないか。父さん、あなたは外国に行って、普通の感覚が鈍ってしまったのね。それしか有り得ないよね。



父とは違って、郁世さんは優しく私の肩を撫でてくれる。




「ちょっと見た目は怖そうだけど、これでも優しいところもあるから仲良くしてやってね。風鈴ちゃん」



……いや、同類だった。郁世さんも私にこんな怖い人と仲良くしろって言ってきた。




私は恐る恐る目も合わせたくもなかった彼に視線を向けてみた。目が合う。『ひいいいいいい!!!!』と声を上げてしまいたい。我慢した私を誰か褒めてほしい。



どうしても30センチ以上ある身長差なので、彼はじっと私を見下ろしていた。……あの、怖いんですけど、怖いんですけど、怖いんですけど、怖いんですけど。額から汗を大量に流している私。一方の彼は涼しそうな顔でゆっくりと息を吸った。





「……俺の妹」



「な、な、何でしょーか!!??」



低い声が響く。私を呼ぶその言葉がいきなりすぎて、声が裏返ってしまったことはどうか忘れてほしい。

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