SS名刺メーカーまとめ※
母の日――奏夜
おかーさんは、絶望的に不器用だ。洗濯をすれば洗剤を入れすぎるし、料理をすればダークマターが生み出される。
それでも、めげずに何度も挑戦するから結果的には出来るようになるし、なによりおかーさんの作るカレーは世界一。
僕の自慢のおかーさんだ。
例え、僕を産んだにしては若すぎるのだとしても、そんな事きっと些事。大切なのは、そこにある絆だと思うから。
普通の尺度――リュウ
僕らといることで、君の普通が人族のそれと変わってしまうことは分かっていた。敢えてそうした。
リセットされた君の思考をまた近付けたくて。
同じように笑いかけて欲しくて、そうした。
「普通じゃん」と言って笑う君に「変だよ」と返す彼らは正しいよ。
君の尺度はもう彼らの普通ではないんだから。
ひと時の逢瀬――オルラとクロノス
彼は下心なく、まるで子どもや動物を愛でるかのような手付きでオルラに触れる。
大切にされていることは分かるものの、それは彼女にとって複雑だった。
自分は彼にとって子どものようにしか思われていないのかと。
「子ども扱いしないでくれる?」
「ははは、悪い悪い」
むくれて頬を膨らませるオルラの頭をわしわしと撫でくり回すクロノス。色気の欠片もない。
二人は、今日も人目を忍んで逢瀬を交わす。
生きている証拠――アレン
無防備に寝顔を晒す 彼の首に手をかける
あたたかい肌の温度 脈動する血管
それは確かに生きている証拠で
このまま ひとおもいに圧迫してしまえば
おれの使命は果たされ 世界に平和が訪れる
そうは理解していても実行には移せなかった
ふいに 瞼を開いた彼と目が合う
殺さねぇのかよ と赤銅色の瞳が見上げる
まだ殺さないさ と強がってみせるおれ
彼は不敵に笑っておれの指を噛んだ
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