悲しくて寂しい歌

蓮side

ビルに帰ると、龍牙があの海岸にいた女の子を調べろって言って自室に入ってった。えぇ。

また無茶振りを。まあ毎度の事だけどさ。はいはい。調べますよ。そうして1つ増えた仕事をしてから一眠りした。アラームの音で目が覚め、支度をして龍牙の所へ向かう。


「蓮、コーヒー」

「はいよ」


龍牙はコーヒーを飲みながら報告書を読む。


「そうか」

「監視カメラで色々調べてみたけど、ほぼ毎日海に行ってるね。その子、男性恐怖症で病院通ってるみたいだけど、少しは良くなったのかな?龍牙会った時どうだった?」

「いや、特に怖がってる様子はなかったな」

「ふーん。それにしても夜中に海に行ってるから何もなきゃいいけど」

「ああ。今日も居るか?」

「居るかもね。行ってみたらいいんじゃない?」

「行ってみるか」


え?冗談で言ったんだけどな。


「本当に?嘘、こんな若頭初めて見た」


睨まれたよ。でもいい傾向。うんうん。

葵ちゃん、龍牙に惚れたかなぁ?

これまでの人は全員龍牙に一目惚れで、惚れたら惚れたで面倒な奴ばっかりだったし。

龍牙もその気ないし。


時間が過ぎ23時少し前。監視カメラで調べてみると行く途中の様で、急いで支度をし、海へと向かう。

0時過ぎに海に着く。車を出ると歌声が聞こえてきた。気づけば真剣にその歌を聞いていた。


「聞いた事ない歌だな。悲しくて寂しい歌」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る