過呼吸

だから今もこうして自殺を繰り返してる。

前に進めないでいる。

苦しい。息が、出来ない。

ヒュッと音が鳴る。過呼吸だ。

落ち着け。大丈夫。私は大丈夫。

呼吸が上手くできない。

落ち着いて。深呼吸して。大丈夫。

ふぅーーと息を吐く。

私は大丈夫。


「大丈夫。私は大丈夫」


言い聞かせる様に呟く。

本に触って撫でる。

この本は伯父さんが最初にくれたプレゼント。

嬉しかった。これだけはどうしても置いてこれなかった。他よりどんなに価値が無いものだとしてもこれがいい。この本がいい。

コーヒーを飲みながら続きを読む。

音を立てて本が閉じられる。

読み終えてインベントリにしまう。

コップの残り少なくなったコーヒーを飲む。

掛け時計の時間を見るとお昼に差し掛かっていた。


「もうお昼か」


食事をする気は全く起きない。

たとえ食べても戻すだけだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る