香水とタバコ

「きゃー。怖かったですぅ。龍牙さん助けに来てくれたんだー。嬉しいー」


とか訳分からねぇ事を言い出すホステスの女ども。胸を押し付けながら引っ付いてくるし、許してもいねぇ名前呼びしやがって。香水くせぇ。だから嫌いなんだよ。

音が出そうなほど勢いよくその女を剥がすと店を出て行く。


「えっ、ちょ、まっ」


九条の声を聞き終わる前に店を離れ車に乗り込む。発進してから少しして橘に声をかける。


「そこで降ろせ」


休憩ついでに海で一息つくか。


「若頭、何用で」

「降ろせ。一服してくる」

「は」


橘に車を脇に止めてもらいドアを開けてもらう。


「そこで待ってろ」

「ですが」


睨みつければ分かりましたと言って頭を少し下げ一歩引き下がった。

タバコをだし口に咥えると橘はライターで火をつける。タバコを吸いながら海へ歩いていく。

砂浜の方まで何段か階段を降りて行くとベンチに誰か座ってるのが見えた。

こんな時間にか?

今はもう3時30分になる。

まぁ、人の事は言えねぇが。

階段を降りて近くまでいくとそこにいたのは女だと分かった。それも年若い少女。

高校生ぐれぇか?

珍しく何か気になった俺は声を掛けてみた。

「隣、いいか?」

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