迷惑客

[月美咲亭]という店は昔から馴染みのある店で、主に関東を仕切る神宮組にとっては見回りも仕事の一環。神宮組若頭の地位にいる神宮龍牙はとにかく仕事が多い。そのせいで苛立っている。のに、仕事が増えるという若頭にとってはさらに苛立つ原因。そのせいで顔が恐ろしく怖くなっていく。


「チッ。まだか」

「まだです。若頭」

「チッ」


というやりとりを何回か繰り返した所で目的地に着く。橘にドアを開けてもらうとあの客の声が外まで聞こえていた。


「わぁー。うるさーい」


横目で睨む。


「はいはい。行きますよー」


部下というより右腕的存在であり親友の九条が先に店の中へ入っていく。その後ろについて行くと案の定店の中はごちゃごちゃしていて。


「チッ」


めんどくせぇ。

若女将を見つけ話を聞く。なんでも男が酔っ払って接待していた女が好みだと言いよっていて困ってた所、次の客に呼ばれた訳だがそれが男は逃げた様に感じたらしい。あほか?

で、もう一度呼び戻せだのあの女と結婚するだのなんだのと喚いていたらしい。あほか。

その後、説明しても男は聞く耳持たずで最終的に喧嘩になったと。


「はぁーー」


あほだな。

九条があの迷惑客と話をつけてるが相手は酔っ払っていて話が噛み合わない。おまけに殴ろうとしている始末。

あいつもそろそろ切れそうだな。


「はぁ」


九条の所に行こうとすると。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る