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私は怖くなって逃げようとしたけど、腕を掴まれた。


「ねぇ、最近全然相手してくれないじゃん?今からどお?俺と相性いいって言ってくれたじゃん」


振り払おうとしても、力が強く振り払えない。


もしかしてこの人、美羽と間違ってる?


美羽の男遊びしてた相手?


勝手に私の名前名乗ってたんだ。


「わ、私、あなたなんか知りません…」


「またまた〜。天原財閥の子だろ?誰にも必要とされなくて寂しいって言ってたじゃん」


美羽のやつ…


好き放題言って…


「本当に人違いですっ…」


「嘘つけっ!」


男が殴りかかってきた。


殴られる…!!


私は怖くなって、目をギュッと瞑った。


あれ?


痛みがない。


私はゆっくり目を開けると、男の拳は私の顔の前で誰かに止められていた。


「何してる」


來斗だった。


「お、桜綺の、そうちょ、、」


男の顔が青ざめていく。


「何してるって、聞いてるんだ」


來斗の声が段々と低くなっていく。


「い、いや、すいませんでしたー!」


男は走って逃げていった。


「大丈夫か?」


「う、うん。ありがとう」


まともに來斗の顔をみれない。


「美桜ちゃん、いたー!!大丈夫!?何もされてない!?」


華恋さんが、私に飛びついてきた。


「おい、華恋。離れろ」


來斗が言うと、華恋さんは渋々離れた。


暁人さんたちも来た。


「な、何しにきたの…?」


「探しに来たに決まってるだろ」


私を探しに?


「美桜ちゃん、いきなり飛び出して行くんだもん。びっくりしちゃった」


へへって笑う華恋さん。


なんで私を探しに?


私、みんなに酷い態度とったのに。


「私は一人で生きてくの…。一緒に居れない」


皆の横を通り過ぎようとしたけど、來斗が腕を掴み引き止めた。


「何をそんなに怖がってる」


怖がってる?


怖いに決まってるじゃん。


いつ捨てられるか、ビクビクして生きていってるんだから。


けど、來斗たちには関係ないこと。


「関係ないよ…。もう離して。私に関わらないで」


「無理だ」


手を離してくれない來斗。


早くこの場から去りたい…。


「美桜ちゃん、華恋と友達にならない?」


「え?」


華恋さんが、横から顔を覗いて言ってきた。


とも、だち?


けど、友達になっていつかは必要とされなくなって…


私は頷けなかった。


「バカだな、華恋。來斗が倉庫に連れてきた次点で、もう仲間だろ?」


暁人さんが言った。


なか、ま?


「ど、どうして…朝会ったばかりだよ。なのになんで、すぐに仲間って」


『來斗が連れてきたから』


來斗以外の4人が声を揃えて言った。


來斗が、連れてきたきらから?


「華恋たちは絶対に、美桜ちゃんのこと捨てないよ。仲間になったらずっと仲間だよ。過去に怯えなくて、新しい人生歩こ」

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