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過去に怯えなくていいの?
「美桜。俺たちと一緒にいろ。今までの過去なんか忘れて、色んな楽しい思い出作ってやる。お前を必要としてるんだ」
私を…必要としてる…?
「ほん、とに?」
「あぁ」
「ヒック、ううっ…」
私は泣いた。
本当に必要としてくれるか分からない。
けど、私を必要って言ってくれた。
何故か來斗の言葉は、信じれた。
「落ち着いたか?」
「う、うん」
昨日から來斗の前で、何回泣いてるんだろ。
「で、美桜は出ていって、どこ行くつもりだったんだ?」
「とりあえず、ホテルに行こうかなって…。住む所は、それから考えようかなって」
「ホテルなんか住まなくていい。あそこに住めばいい」
「けど、私部外者だし」
「部外者じゃねぇだろ。仲間だろ。あそこの事は、総長の俺が決める」
「けど…」
「決定な」
勝手に決まってしまった。
本当にいいのかな…?
「で、制服はどうするんだ?」
「今日はもういいかなって。月曜日学校行った時に買うよ。とりあえず必要最低限の物だけ買いに行こうかなって」
「じゃあ、とりあえずそれ買いに行くぞ」
「え、ちょっ」
來斗が私の手を引っ張って、歩き出した。
4人も後ろからついてきた。
「どこから、見ていく?」
「あ、先に服買いたいから、とりあえずあそこのお店行きたい」
私は、よく行くお店を指さした。
それにしても、本当に來斗たちって有名なんだ。
みんなから視線感じる。
そりゃあ、知らなくて驚かれるわけだ。
服選ぶ時、來斗たちも中まで入ってきた。
つまんないから、どこかで待ってていいって言ったのに。
「俺ら外で待っとくから」
流石に下着屋さんには入ってこなかった。
華恋さんは、一緒に入ってきた。
「美桜ちゃん、胸大きい!何カップ?」
「え、ちょ、華恋さん」
いきなり胸を触られたので、びっくりした。
「もう、華恋でいいって!」
プクッと頬を膨らます、華恋さん。
「か、華恋?」
「うん!」
呼び捨てにすると、ニコッと笑ってきた。
「実はね、華恋親に虐待されてたの」
「え?」
いきなり話し出した華恋。
虐待?
「高校に上がる前に、親がいない隙に逃げたの。そんな時、暁人が見つけてくれたの。暁人の両親も本当の子供のように、可愛がってくれるの」
必要とされる人を、見つけたんだ…
いいな…
「ねぇ、なんで來斗は私に、声をかけたと思う?」
気になっていたことを聞いてみた。
「んー、そのうちわかると思うよ!美桜ちゃんが求めてるもの、來斗が全部くれるよ」
教えてはくれなかった。
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