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ん…


目を開けると、見た事のない天井だった。


ここどこ?


どこかの部屋だとは、思うんだけど見たことない。


なんで私ベットの上に?


なんで冷えピタ貼ってあるの?


ガチャ…


「あ、起きた?ちょっと待っててね」


知らない女の人が入ってきたけど、直ぐに出ていった。


だ、誰?


状況が分からない。


「目が覚めたか?身体はどうだ?」


部屋に、あの男の人が入ってきた。


ベット横の椅子に座った。


私は身体をおこした。


「あ、あの私あまり覚えてなくて…」


「あの後、意識なくして倒れたんだ。多分この大雨の中雨に打たれて、熱でもでたんだろう」


熱?


男の人は、そう言うと体温計を渡してきた。


多分測れって事だろ。


私は体温を測った。


「何度だ?」


「37度」


「さっきよりは、下がったな。運んだ時、38度あったから」


そ、そんなにあったの?


「何があった。最初あった時から、何かあったんだろ」


話そうか、話さないか迷った。


会って2回目だし、話したところで何もならない。


けど、前に少し話したし…。


「親に家を出て行けって、言われたの。いつかは、言われると思っていた。けど、連絡が来た時、もしかしたらって期待してる自分がいた。本当に居場所もなくなった。孤独になった。もう、死のうって本気で思った」


何故か最後の方、笑えてきた。


「どうして笑う?無理しなくていい。悲しいんだろ?泣きたい時は、泣けばいい」


無理して笑ってる?


無理なんかしてない。


悲しい?


悲しくもない。


悲しくなんかないのに…


「あれ?変なの…悲しくなんかないのに…最初からわかっていたのに…」


涙が流れていくのがわかる。


男の人は、何も言わず私を抱き寄せた。


本当は悲しかった。


目も合してくれないけど、喋ってもくれないけど、家に帰れるだけよかった。


けど、もう家にも帰れなくなる。


見捨てられ、悲しかった。


私は男の人の胸で、声をころし泣いた。


「落ち着いたか?」


「はい…すみません。服汚してしまって」


男の人の服に、私の泣いたあとがついてる。


「気にするな」


コンコン…


「服持ってきたよ」


さっきの女の人だ。


「ありがとな」


男の人は、女の人から服を受け取った。


女の人はまた、どこかに行った。


「とりあえず風呂はいってこい。濡れた服のままだとまた、風邪引くぞ」


制服のままだった。


まだ少し湿ってる。


「いや、大丈夫です。帰るので…」


「行く宛てあるのか?」


「とりあえず、ホテルに泊まろうかと」


「いいから、風呂に入ってこい」


私はお言葉に甘えて、お風呂を借りた。


これからどうしよう。


少しの間は、ホテル暮しでも行けると思うけど、ずっとって訳には行かない。

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