第14話

一週間後


西沢プロダクション 15階会議室







大男は困惑していた



鶴田  俺は長年マネージャーをやってきた

    が、お前らがこんな悩むのは初めて

    じゃないか?蒼。




鶴田一樹つるたかずき

N.title結成以来、統括マネージャーを務める傍ら、事務所の管理するアイドル養成所の所長を務める仕事人間。忙しいにも関わらず大事な現場には必ず顔を出す頼れる兄貴。

高卒で西村プロダクションへ就職した身長186cm30歳。趣味はカメラ・恋愛映画鑑賞






蒼   マズイんだわ。このままじゃ。

    曲も何も浮かばねぇ。

    ストックもあるけどさ。

    次は出来合いのものじゃだめなんだ。


鶴田  出てこないならとりあえず社長に提

    案だけでも…!


蒼   おい。それでもマネージャー?

    半端なものだせないってば。

    でも今、いいのが出てくる可能性はある。

    あいつから。


鶴田  アイツって…?


蒼   アイツって言ったらアイツ。 

    分かるだろ?


鶴田  ほう…何年マネージャーやってると思う。

    ヒントは充分だ。

    

蒼   それよりなんで俺たちに言わなかった。

    週刊誌に狙われたらどうする。

 

 

鶴田  大丈夫。

    俺らを敵に回しはしないさ。

    頼は自ら調べたか。

    リスクヘッジがさすがだよ。

    それに北斗から言わないでと言われ

    てな。頼はきっと北斗が可愛いあま

    りに調べてたんだろ。

    当の本人は可哀想

    と思われたくないってさ。

    蒼がいれば…アイツらがいれば大丈

    夫。このグループがトップである限  

    りはな。


蒼   もし…落ちることがあったら…?


鶴田  …落とせない。落とさせない。

    蒼らしくないな。そんな事言うなんて。






芸能界は厳しい

口でいうよりももっと厳しいことは

この業界にいれば分かることだ

辛い、辞めたい

そんな言葉を吐いた時点で敗者となる

一旦表に出たならば

常に上を向いて目指さなければならない





鶴田は唇を噛む

何か策を練らなければならない








蒼   それなら頼みがある。

    聞いてくれないか。










彼は鶴田に今までにないスケールのお願いをした。これだからボンボンは…と文句を垂れながらも鶴田は次の日から長期出張とした


メンバー、会社の人間で彼の海外出張に文句を言うやつはいなかった


彼は入社以来ずっと休みなく働いていからだ

海外で羽根を伸ばすのも悪くないというかのように




知能的に優秀な人間ほど他人に不器用なのかもしれない





すべては来年12月にリリース予定の冬のバラード曲を大ヒットさせるため



タイアップの予定もあるという

しかし監督の以降で映画の内容は伝えられなかった




ただし要望は既に出されていた

“儚い冬のバラード”

愛したいのに愛せずいる男の想いを表す曲にしてほしいという強い要望があった



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