第8話
残酷な事情聴取を終え、沙耶の父はぐったりとしていた。その後精神病と診断され入院。第一線でのカリスマ的活躍は幕を閉じた
カリスマの引退で沙耶の父の会社はしばらくして倒産
それを期に同じ崖から飛び降り自らその生涯を終えた
沙耶は1人ぼっちとなり市の職員によって一週間後には東京の施設に預けられることになった
それ以来、沙耶と北斗が顔を合わせることはなかった
16歳の冬
北斗の母はお風呂場で発見された
あんなに文を書くのを得意としたにも関わらず、遺書も残さずじまい
糖尿病だった父への愛を示した自作レシピ集を両腕に抱えながらの最後だった
2人で独りぼっちになった
その後彼は叔母のいる神奈川へ引っ越すことになった
引っ越してからというもの
彼の心は引き裂かれ狂っていた
北斗 沙耶はどこにいるんだよ。教えてく
れよ。おばさん!頼むよ…
何もいらねえ。でも…沙耶だけは…
沙耶だけは…頼む…
叔母は泣いてすがる彼を冷たくはね退けた
何を言っても「忘れなさい」
その一点張りだった
すべてを無くした北斗は勉強に熱中した
何もかも忘れるくらいに
音楽には触れなかった
楽しくピアノを弾く彼女を思い出してしまうのを避けるために自己防衛をしていたのだ
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