第5話

沙耶  私ね、いつかピアノの先生になる!


北斗  なれるよ。沙耶なら。

    お母さんに似て綺麗だし。


沙耶  それは関係ないでしょ


北斗  そうだね。


沙耶  なに…?





彼女は鈍感だ

そうしないと息苦しかったのかもしれない

立派な両親のもとに産まれ

容姿にも恵まれた

そして何よりも

それに見合った努力を惜しまない

だから余計に美しい


だれも放っておけないのは

そこに愛嬌まで兼ね備え

誰もかも捕らえてしまうからだ


そんな彼女は危なっかしい

心が誰よりも繊細であることを

僕は知っていたから

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