第4話

北斗  おーい!沙耶ー?いくぞー!



彼は毎日、大好きな彼女を待ち伏せする

雨の日も風の日も負けずに

なぜなら、彼女を独り占めできるのは、

彼女が習い事に行くまでの時間のみ

神童はいつも忙しい

学校の下校は彼らの唯一の癒やしの時間だった



北斗  今日もピアノ?


沙耶  うん!


北斗  ほんと好きだな。


沙耶  女の子はピアノとお習字ってママが


北斗  本当に好きならいいんじゃね?


沙耶  北斗もやろうよ!


北斗  俺は無理かなー向いてない!


沙耶  一緒にいられなくてもいいの?


北斗  寂しがりやだな。


沙耶  うふふ。

    でも私、北斗がホントは文を書くの         

    うまいって知ってるよ!お母さん似

    なのかもね!校長室に貼ってある詩   

    って北斗が書いたものでしょ?


北斗  おい!なんで知ってんだよ


沙耶  校長先生が自慢してきたんだ

    “うちには神の子が2人もいる”って







いつもの土手を左に曲がり

真っ直ぐに進み少し下ると穏やかな海へ出る

砂浜を右に進み3分歩くとまるで塀のような高い崖の影になるくぼみがあった


そこは2人だけの場所

いわゆる秘密基地だった

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