第48話
「だから、貴方や、貴方の家族を守る為、一樹は、明日、同性愛者である事を公表する。その席上に同伴して欲しい。福光氏と、息子も同席するから」
「なんで、こんな僕の為に・・・」
「さっき言っただろう。槙家の嫁だからだよ」
鏡さん、そう言うと、ひまわりに彩られた小道を歩き始めた。
「仮にも父親となるんだ。その子を不幸にしないよう、いずれは、一樹の後継者となるその子に、惜しみない愛情を注いで欲しい」
沢山の子供たちが、黄色い声を上げながら、迷路にもなっているその小道を元気一杯、駆け抜けていく。
その愛らしい姿を、優しく見守る鏡さん。
「行きますよ」
「鏡さん、待って‼」
慌ててその後ろを追い掛けた。
ひまわり畑を沢山散歩し、気分もすっきりして、帰路についた。
「鏡さん、ありがとうございました‼すごく、楽しかったです‼」
車に乗り込む前お礼を言うと鏡さん、恥ずかしがってた。
スーパーに立ち寄って貰って、鏡さんと一緒に買い物をしたけど、護衛の警備員さんたちに、他のお客さん吃驚してた。
何事ーー‼って、感じで、みんな振り返って見てた。
もう恥ずかしくて正面を見れなかった。
買い物を終え、駐車場に向かって歩いていると、鏡さんと、警備員さんたちが突然立ち止まった。
その視線の先には、不敵な面魂の大柄な男が、沢山の手下を携え、睨みをきかせていた。
「前に話した暴力団だよ」
鏡さんが、前を向いたまま教えてくれた。
「一度槙家の嫁と認めた以上、命をかけて守るのが、オレの役目ーー」
「鏡、やっと吹っ切れたみたいで良かった。お前の側にいる橘内だっけ⁉彼の方がお前にはお似合いかも」
「川木、それ真面目に言ってる⁉」
「あぁ勿論だ。橘内だって、槙家に劣らない名家の出だろう。なんで、いいとこの坊っちゃんが、公設秘書に甘んじてるわけ⁉」
そういえば、鏡さんと川木さんって、知り合いだったんだ。
ここにいない橘内さんの話しで盛り上がっていた。
「秘書同士付き合ったら、一樹の仕事に差し支えるだろ⁉」
橘内さん、鏡さんとは何でもないっていたけど、川木さんは、二人をくっつけようと必死みたいで。ちょっと笑っちゃった。
「今日、非番だから、一日警護をする」って川木さん。鏡さんと、彼と一緒に家に帰った。
「ナオ、なかなか帰ってこないから心配した」
玄関入るなり海斗に抱き締められキスの嵐。一樹さんに負けると劣らない、いたずらっ子の手は背中を滑り下へ。
「だめ‼」
「なんで⁉」
うるうるしても、駄目なのはだめ‼
「こんにちは」川木さんが、後ろから顔を出してきて、海斗、驚くかと思ったけど。
「ナオの恋人の、皆木海斗です」
意外にも冷静に自己紹介してた。
「皆木⁉」
「戸籍上の、一応゛弟゛です」
「なるほど」
川木さん、僕が二人と交際しているの、鏡さんから聞いたのか知っていて、さほど、吃驚もしなかった。
「じゃあ、恋人同士の時間、邪魔しないで下さい」
海斗が僕の手を引っ張って、中に入れると、バタンとドアを閉めて、鍵まで掛けてしまった。
「海斗‼川木さんに、僕、助けて貰ったん・・・っう、う・・・っん」
顎を掬い上げられ、口付けをされた。
「海斗ってば‼」
「鏡さんはいいとしても、他の男と何で一緒にいるの⁉すげぇ、親しそうにして。ムカつく」
海斗は、僕を抱き上げると、そのまま、 まっすぐ、奥の寝室へ。
「ちょっと、待って‼靴、脱いでないのに‼」
どさっとベットに落とされると、すぐに海斗が覆い被さってきた。
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