第13話
「一樹さん、いやだ、いやぁ!!!」
手足をばたつかせて抵抗するも、体格の差、力の差は歴然としていて。
裾をたくしあげ、彼の手が下肢に滑り込んできた。
「だめって、だめぇ・・・いたっい」
ぎゅっと、下着の上から、自分のものを鷲掴みされ、余りの痛さに、涙が滲んだ。
「海斗だっけ⁉幼馴染み⁉もう、彼と寝たの⁉」
ぞくっとするくらい、一樹さんは怖い顔をしてた。
「妬けるね。どんないい声で泣いたか、教えてくれる⁉」
ぷるぷると震えながら、必死に、頭をふった。
「そう、それなら」
そう言って、更に強く握られ。
ぎゃぁぁーー!!!!
おもわず悲鳴を上げた。
悔し涙だろうか、一筋目から零れ落ちた。
「今日は、彼氏のもとには、帰さないから、そのつもりで」
「いやだ、なんで!?」
「お前は、今晩、俺の妻になるんだ。何不自由のない暮らしをさせてやる」
「う、嘘・・・」
首筋に彼の吐息がかかる。
そして、自分の所有物という証しに、強く吸われ、声にならない悲鳴が上がった。
下着の中に、彼の手が潜り込んでくる。何故か、今度は優しく上下に扱き始めた。
「一樹さん、やめて・・・」
涙が滲みでる。
こんなの、嫌だ・・・。
「一樹さん・・・」
気だるい体を奮い起こし、彼の肩にしがみついた。
「ナオ⁉」
突然の事にあたふたする彼。
「寂しいのは、みんな、おんなじ」
「ナオ・・・」
僕の体に、タオルケットをそっと掛けてくれる彼。何気なく、気を使ってくれる。それが、本当の彼の姿。
「みっともない姿見せて、ごめん」
苦笑いを浮かべる彼。
でも、お互い、目があって・・・。
「やっぱり、ナオが好き」
彼の腕が背中に回ってきて、ぎゅっと抱き締められた。
その大きい肩は、かすかに震え、小さく見えた。
・・・泣いてるの⁉
「泣くわけないだろ」
強がる素振りを見せる彼。
その不埒な手は、背中を滑り落ちていく。
「だめ、一樹さん」
「今すぐしよう」
「だから、あの・・・」
彼の肩越しに、橘内さんの姿が見えた。主人の醜態にかなり、呆れている様子だ。
「一樹さん、時間です」
「あと、一分」
「先代も、病院からこちらに向かってます」
「はい、はい、分かったよ」
溜め息を何度も吐きながら、ようやく、僕の体を離してくれた一樹さん。
お互い、汗でびっしょりだ。
「お二人とも、着替えが必要ですね」
橘内さんまで、溜め息を吐いてるし。
その時、ぐいっと、上顎を持ち上げられた。
なんで⁉
と思った時には、一樹さんの口唇が、自分のに重ねられていた。
く、苦しいし!!
薄く開いた隙間を抉じ開けて、強引に彼のが侵入してきた。
「ナオ、愛してる」
ひとしきり舌と舌を絡ませたのち、彼は、真摯までの眼差しで、そう告白してくれたけど。僕は、ただ、ごめんなさいを繰り返した。
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