第52話
「ところで話は変わるが。いよいよ
「隋からのって……えぇーと、確か昨年に
昨年の今頃、炊屋姫は
これは
「あぁ、特に小野妹子殿は
「そうみたい。それと向こう国の使者も一緒に来られるそうで、その人達の為に炊屋姫様は、新しい館を
※高麗館:外国の使いや客を泊める建物
相手はあの大国隋からの使者達だ。倭国側も出来る限りの出迎えをするつもりでいる。
「これはきっとこの国挙げての、盛大な出迎えになるはずだ。今は丁度筑紫に滞在されてる頃だろうから、飛鳥に来るのは来月の6月に入って頃だろうか」
「えぇ何でも、私の身内の額田部もこの件には関わっているそうで、今色々と大変みたい」
稚沙は先日実家から、そのことについての連絡が来ていた。
恐らく稚沙自身も出迎えには関わることになるだろう。
「ふーん、まぁそうなるだろうな。それだけ今回は色んな人達が総動員するってことだからね。当然うちもそんな感じだ」
「まぁ、
そういって稚沙は少しクスクスと笑った。
彼女は前回初めて、蘇我馬子の息子である蝦夷と知り合った。彼はとても気さくで感じの良い青年である。
「そういえばお前、前に蝦夷と知り合っていたな。別に話すぐらいは良いが、余り親しくするなよ」
椋毘登は少し刺のあるいい方で彼女に忠告した。
「えぇ、どうして?蝦夷はとても良い人に見えるけど?」
前回もそうだったが、椋毘登は自分と蝦夷が仲良くするのがどうも気にくわない風に見える。
「別に理由はないが、お前と蝦夷が仲良くするのは、何となく気にくわない」
椋毘登はそういって、少しムスっとしてしまった。
椋毘登と蝦夷は従兄弟同士の関係だが、そこには稚沙には分からない何かがあるのだろうか。
「うーん、いまいち理由が分からないけど。椋毘登がそこまでいうならそうする。私も椋毘登に嫌われたくないし」
彼女自身も折角彼とここまで打ち解けられたのだ。その関係を壊す方が稚沙も嫌だと思った。
それを聞いた椋毘登も安心したのか、どうにか彼の不機嫌さも上手くおさまったようだ。
「まぁ、どのみちこれから忙しくなるだろうから、蝦夷がどうのこうのとかいってられなくなるけどな」
こうして飛鳥では、隋からやってくる人達の出迎えのため、それから忙しい日々が始まることとなる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます