忍坂姫の嫁ぎ先
第4話
新たに即位した
そして、そこには妃の
また彼の補佐は
こうして新たな大和王権の体制が、着実に整えられていった。
そんな矢先の事である。
ある一人の男が何やら酷く何か考え事をしていた。
彼は今の大王の父親である、
「皇子、何をそんなにため息なんかつかれて」
そんな彼を横で呆れながら見ていたのは、彼の妃の
彼女は豪族
「いやな、娘の
「え、忍坂姫ですか?」
忍坂姫とは、稚野毛皇子と百師木姫の間に生まれた第一皇女で、今年で15歳になっていた。
だが皇女とは言っても、両親からは割りと自由に育てられてきた娘である。
そしてとても控えめで大人しい妹の
「あぁ、そろそろあいつの嫁ぎ先を決めなければと思ってな」
どうも稚野毛皇子は、娘の将来を考えて最近色々と候補を考えているようだった。
「そうですね。ただあの子は大人し目な衣通姫と違って、何分ちょっとお転婆ですから」
百師木姫も、忍坂姫のそんな性格を少し気にしてた。
「忍坂姫は一応皇女だから、今の大王の后にとも一瞬は考えた。あの子なら皇后にもなれるからな。だが大王は今の妃をとても寵愛してるから、そこに忍坂姫を入れてもな……」
大王の正妃でる后や皇后になれるのは、葛城の磐之媛を例外として、原則皇女のみである。他の豪族の姫は妃の扱いだ。
また大王以外の皇子の妻も妃と呼んでいる。
「まぁ、あの子の性格を考えたら、今の大王の后なんて務まるはずがありません」
瑞歯別大王は今の妃をとても大事にしており、過去にも他の妃入りの話しはあったが、大王は全て断っていた。
そこに自分達の娘を嫁がせようものなら、逆に大王の逆鱗に触れてしまいかねない。
「だから、一瞬考えただけだ。そうなると他のどこかの豪族の皇子にでも嫁がせるか……」
「ちなみに、皇子。息長は無理ですよ。既に忍坂姫の性格等は知られているので、年頃の青年達は遠慮しますわ」
息長にも姫の歳の合う青年もいるにはいるが、妹の衣通姫ならともかく、忍坂姫は皆避けたがっているようだ。
「うーん。まぁ、意志が強くそれなりにしっかりはしてるから、正直勿体ない気はしている。それなりに身分のある者でも、あの子ならしっかり支えられるはずだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます