第66話

世の中に、死にたいと思っている人間は五万といるらしい。




あまり使っていなかったアカウントから『死にたい』で検索をかけるとほぼ10秒単位ごとに誰か呟いていた。



今から死ぬ、ではなく『死にたい』。


死にたいのに、死ねない苦しみを吐き出す応急処置のように、使いまわされた言葉だ。




早速「自殺志願者フロムサイレンス」という名でアカウントを作った。



フロムサイレンス、というのはカエデの提案だった。


彼が好きな曲のタイトルらしい。




〉9月1日、男女二人で自殺配信 #自殺配信 #死にたい



投稿すると、いくつかのアクションがあった。

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