第55話
「後悔してることがあるんですか?」
「……そうね。やり直せるものなら、やり直したいかな。せめて別の形でも」
視線を私の戻し、頼りなく微笑む彼女の笑顔には鬱々とした悲しみが潜んでいた。
もちろん彼女がそんな思いに至った経緯を私は知らない。
いつも天真爛漫で悩みなんてないように見える彼女の、心の奥に潜む闇を目の当たりにして私は少し動揺していた。
外面を取り繕う人の闇は、思っている以上に根深い。
彼女持ち前の明るさや優しさが、もしその後悔から来ているのだとしたら……。
バスを降り、方向の違う電車を同じホームで待ちながら、さっきから頻繁に彼女のスマホが鳴っていることに気づく。
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