第50話

それに彼氏でもないカナメに、気の利いた言葉を求めようとする方が間違っている。



今季流行だというバッククロスのワンピースタイプの水着を買い、旅グッズを揃え、紙袋をぶら下げながら駅へ向かう送迎バスに乗り込んだ。




「あれ、月島さん?」




驚いて振り返ると、後ろの席でリカちゃんがこちらに向かって手を振っていた。



偶然同じバスに乗り合わせたらしい。



まさかまた彼女に会うことになるなんて思いもしなかった。




バッサリ髪切ってるから誰かと思っちゃった、と隣の席に置いていた荷物を膝に置き直し、そこに私を座らせる。



お盆に贈るお供えの品を選びにデパートにきていたそうだ。


袖部分がやや透けたブラウスに麻のスカートが涼しげで白い肌の彼女によく似合っていた。

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