第43話

小腹が空いて冷凍庫を開けると、中にぽっきんアイスが入っていた。


取り出して半分に折り、我が物顔で私のベッドに横になっているカナメに片方を渡す。




カナメが私の家に頻繁に訪れるようになったのは、まだ幼稚園に通っていた頃のことだ。



同じ頃、カナメの母親が家を出て行った。


原因は母親によるカナメへの育児放棄、虐待だった。




それを期に、時々うちの両親がカナメを預かるようになり、お互い親がいない間、子供同士一緒に過ごすのが自然と当たり前になっていった。



私の両親の放任主義に拍車をかけたのは、一応年上のカナメがいてくれる安心感があったのかもしれない。

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