第42話

「誰かと思った」



私の家にやってくるなり、カナメは私を見てそう言った。



私はその言葉をそのまま彼に返した。



なぜならカナメも、いや、カナメの方が劇的な変貌を遂げていたからだ。


黒かった彼の髪はブリーチされ、白に近い金髪になっていた。



「どこかのヤンキーかと思った」と言うと、彼はでしょ、と満更でもなさそうに答えた。



とはいえ顔立ちに恵まれた彼は、何をしても似合ってしまうものらしい。




何となく照れ臭くて口には出来なかった。


もしまだ学校がやっていたら、私の代わりに同級生たちが歓喜の悲鳴をあげていたかもしれない。

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