第二章
第40話
1
これで一体、何年分だろう。
鏡ごしに自分の髪がザクザク切られていくのを他人事のように眺めながら、ふと思った。
人の髪は一年に平均十五センチ程伸びると言われている。
だから腰まであった私の髪だと三年分くらいだろうか。
三年前の私は、まさか三年後に自分が自殺を企てているなんて考えてもいなかっただろう。
「もしかして失恋でもした?」
ハッとして鏡を見ると、顔馴染みの近所の美容師がハサミを器用に扱いながら私を見つめていた。
「突然ショートカットにしたい、なんて言うからさ」
確かに女が髪を切る時は失恋した時、なんてよく聞く話だ。
実際に失恋で髪を切る人がどれほどなのかは知らないけれど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます