第39話

眩しい日差しに目を細めながら顔を上げると、カナメもこちらを向いていた。



「最期の夏だ、後悔すんなよ」



重たいはずの言葉なのに、彼がそう言って微笑むせいで、なぜだか私まで笑みがこぼれてしまった。




「うん、最高に暑い夏にする!」




死にかけの二人の、小さな決意がスピードに乗って夏空に響く。




私たちにとって最期の夏休みが今、始まろうとしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る