第14話

具体的な相談したことはないが、私がクラスで〝いじめ〟に合っていることをリカちゃんは気づいている。


気づいていて彼女は、何も言わず、何も聞かずに私に学校での居場所を提供してくれたのだ。



「無理する必要なんてないのよ、月島さんがいたいだけここにいていいんだからね!」



肩をすくめ、微笑むリカちゃんの表情に、少しだけ気持ちが楽になる。



けれど、同じだけ情けなさが胸に押し寄せた。


本当はいつまでもここにいてはいけないのだ。


ここに登校したところで単位が取れるわけでもなく、足りなくなれば当然留年になる。


もう義務教育ではないのだから。



この一ヶ月、今日は教室に行こう、今日は教室に行こう。


そう思い続けて結局またここに来てしまっていた。


恐怖なのか、甘えなのか、正直もうわからない。



けれど、この状況を何より両親には知られたくなかった。


知れば大きなため息をついてこう言われるのが目に見えているからだ。



(一人娘なんだから、親になったことを後悔させないでよ)



もし私に血の繋がった姉妹や兄弟がいたら、少しは違っていただろうか。



親の期待に沿う生き方を、私ではなく代わりの誰かがやってくれていたら、得体の知れないプレッシャーを感じることなく自由に生きれただろうか。



でも、きっと無い物ねだりだ。

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