第6話

散々罵られ、ようやく彼女たちから解放された頃にはもうすっかり日も沈んでいた。



ようやく家まで帰ってきても、家の明かりは影を落としたまま、まだ誰も帰ってきてないことが一目にわかる。



力なく玄関の門を潜ろうとしたその時、



「七海、今帰り?」



その声に振り返ると、森カナメもりかなめが立っていた。彼は隣に住む幼なじみだ。



細長い彼の体型を誇張したような影が電灯に照らされて伸びている。


影でもわかるほどスッと尖った鼻先が私の足元でかすかに揺らめいていた。



彼も私と同じ近所の高校に通っている。


幼なじみと言っても私より一つ年上。


歳の差自体はあまり感じたことはないけれど、学校でカナメが多くの同級生の女子から好意を寄せられているのを見ていると、年齢はともかく同じ世界にいるようで実は別の世界を生きている人なのではないかと思うことがある。



私にはない華やかさを生まれながらに彼は持っているからだ。


そんな世界に生まれれば、私のように死にたいと思うことなんてないんだろうと思う。


羨ましく思う反面、心が荒んでいる今のような時は、それを妬ましく思ってしまうこともあった。

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