第5話
羞恥のあまりせり上がる呼吸が喉を圧迫し、うまく息ができない。
鼓動は時限爆弾のように身体中で鳴り響き、膝が滑稽なほど震えていた。
開け放たれた電車のドアから溢れる人々が、倒れ込む私を怪訝に避けながら降りていく。
「どけ、邪魔だよ!」
容赦無く罵声を浴びせられ、誰一人として手を差し伸べてはくれる人はいなかった。
最悪だ。
こんな目に合うならいっそのこと飛び込んでしまえばよかった。
死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。
そう繰り返しながら、本当は死ぬ勇気さえない矛盾に、自己嫌悪さえ抱く。
自殺した女子高生はすごい。
死の覚悟を持つことがどれほどか、思い知った気がした。
けれどきっと、そう思い至るまでには想像を絶する苦悩があったに違いない。
そうでなければ人は自ら進んで自殺なんて選択しないのだから。
あとどのくらい苦しめば私もその域まで達することができるだろう。
こんな想いをしてもまだ死ぬことが出来ないなんて。
あとどれくらい絶望すれば死の覚悟を手に入れられるのだろう。
早く、早く死にたい。楽になりたい。
こんなはずじゃなかった。
私の思い描いていた高校生活はこんなはずじゃなかったのに。
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