第2話

1


「ねえ、さっき自殺配信あったらしいよ」



隣を歩いていた高校のクラスメイトがスマホを見ながらふいに声を上げた。


放課後、渋谷で一頻り遊んだ後、帰ろうと駅に向かっている最中だった。



「なんか女子高生が飛び込んだらしい、ほら」



そう言って頼んでもないのに、スマホの画面をこちらに向けてくる。


その画面の中で一人の女子高生がホームから飛び降り、直後に電車が猛スピードで突っ込んでくる場面が映し出されていた。


同じく一緒に歩いていたクラスメイト二人が揃って臭いものでも嗅いだような顔をする。



「うわぁ、きも!」


「てかこれのせいで今渋谷も電車遅延してるらしいよ」


「は?超迷惑なんだけど。死ぬなら人に迷惑かけんなよ」



彼女たちはほんの数分前に命を絶った見知らぬ誰かに、言いたい放題罵声を浴びせている。


それを聞いてきて、私はなぜかやるせない気持ちになった。


どうやら私は彼女たちより、その自殺した女子高生の方に感情移入してしまったようだった。


死にたい、と思う気持ちを私は何度も経験したことがあるから。

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