第6話 魔法
あっという間に、平日が過ぎた。
ちゃんと異世界で何をするかを決めている。
私、結構しっかりしてるからね。
アリシアがいたら違うって言いそうだけど。
「暑っ!?」
異世界に着いたとたん、あまりの暑さに慌ててカーディガンを脱いだ。
「今日の最高気温は、そっちの基準で言うと、40度だからね!」
後ろを振り向くと、全く暑さを感じない様な立ち振る舞いをしている、ソフィアがいた。
ソフィアはこっちに手を向けて、魔法陣の様なものを浮かべた。
魔法陣がキラリと光った。
周りの空気が少し涼しくなった気がする。
不思議そうにソフィアを見ていると、
「空気を冷やす魔法を使ってみたんだ!私は炎とか温める系の魔法が得意で、冷やすのは苦手だからそんなに冷やせてないかもだけど。」
と言われた。
「ううん、とっても助かった。ありがとう、ソフィア」
魔法というものがあるんだ、凄い。
実際に見ると神秘的だなぁ。
「ところで、何でソフィアがここにいるの?」
「私、瑠歌ちゃんの案内役になったんだ!扉に反応があったから来てみたの」
ソフィアによると、色々な人が案内役に立候補したらしく、激戦のすえ、ソフィアが勝ち取ったらしい。
「それで、何をするのかとか決めてるの?」
「うん。まず、大きなかぼちゃを作りたいと思って」
私が平日に考えていたこと、それは、
大きなかぼちゃが作れなかったらそもそもかぼちゃの馬車づくり始まらなくない?
ということだ。
「うーん、何か聞いたことある気がするんだけど…図書館に行ってみる?何か手掛かりがあるかもしれないよ!」
「うん、そうする」
図書館は、とても広くて、国民にとっても憩いの場所となっているらしい。
魔法は使えない様に制限されているんだとか。司書さんだけは魔法を使える様になっているそうだ。
本が傷付いたら困るってことかな。
「着いたよー!本は500万冊ぐらいあるんだ」
確かに、圧巻の景色だった。
そして、開放感があり、木の暖かみを感じることができた。
「何かお探しですか?」
そう話しかけてきたのは、司書さんだった。
「えーと、実を大きくするにはどうすれば良いのか書いてある本はありますか?」
「少々お待ちください」
司書さんが目を瞑ると、床に刻まれていた魔法陣の様なものが輝いた。
この世界では当たり前だけど、やっぱり圧倒されちゃうなぁ。
「完璧に合致するものはございませんでしたが、こちらに用意しましたものは、参考になるかと思います」
「ありがとうございます」
そうして出てきたのは、何百冊とありそうな本たちだった。
読み終わるだけで、今日は終わりそうだなぁ。借りれたりしないかな。
「…異世界からのお客様は、本をそちらの世界に持ち込む事は禁止されておりますので、ご了承ください」
この司書さん、言いたい事をすぐ当ててくる気がする。
異世界には有能な人多いのかな?この前の店員さんもそうだし。
「司書さん!私も探したい本があるんですけど…」
「ソフィア様のご要望にあっている本はこちらの本たちです」
本を図書館の机まで持って行って、見ることにした。ソフィアも見たい本があったみたいで、一緒に読むことにした。
うーん、どれも参考にはなるけれど、ちょっと違うなぁ。
肥料の与え方とか成分とかが実を大きくすることと、関係しているらしい。
まだまだ、司書さんに選んでもらった本を全部読み終わってはなかったけれど、かなりの時間異世界で過ごしたから、そろそろ帰らなければいけなかった。
帰り道は、2通りあるらしく、前行ったところではない方を歩いてみることにした。
アイディアが降ってくるかもしれないし!
「こっちの道も素敵でしょ、瑠歌ちゃん!
ほら向こう見て!湖だよ!」
「痛っ」
湖の方に気を取られていたら、何か、お花みたいなものを踏んでしまった。靴まで貫通してきているということは、相当な威力だなぁ。
「あ、ごめん!言ってなかったね。それ、メリーていう花で、今みたいに痛くなるから、あまり近づかない方が良いんだ」
メリー?どこかで聞いたような気がする。
何だったっけ?
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