第1話 日常
朝の光がカーテンの隙間からもれでている。
ベッドはふかふかで、私を離すまいとしていた。それをなんとか振り払うようにして、ベッドから起き上がる。
学校に行く準備を終えて、机の上に置いてあった、かぼちゃの馬車作り計画書をバックの中に入れていると、
「ピンポーン」
と音が鳴った。
扉を開けると、この国ではあまり見ない金色の髪に水色の瞳を持った美しい少女が目に映った。
まあ、アリシアは外国人だから当然と言ってしまえばそうなんだけど。
「おはよう、今日はちゃんと早起きできたんだね」
そう言った彼女の名前は、私の親友の、アリシア・リーだ。
いつも早起きだと思うんだけど。
そう思っていたのが顔に出ていたのか、
「いつも私がくるまで起きてないじゃない」と言われてしまった。
「ところで、今日の作戦は何なの?」
アリシアとは、毎日登校する時に、かぼちゃの馬車作りの作戦を話し合っているんだ。
学校の近くに住んでいるから、あまり多くは語れないけどね。
「今日はねー、ミニかぼちゃの馬車作り作戦!」
弱い風が吹いてくる。その風によって、アリシアの長い髪がなびいている。
昨日かなり考えたなかなか良い作戦だと思うんだけど、そう言った後に少し心配になってきちゃった。
アリシアはどう思うかな…
「構図がわかって、問題点なども見つけやすいということかしら?良いと思うわ」
やったー!!!久しぶりの良いというコメント!
アリシアはバッサリものを言うタイプで、アリシアが良いと言った作戦は成功率が高いんだよね〜。
そういうような会話をしていると、もう校門が見えてくる。
私とアリシアはクラスが同じで、2年A組と書かれた教室に入っていく。
私たちが教室に入っても、クラスメイトはがやがやしているけれど、明らかにこちらに聞こえないように言っている、ヒソヒソ声も聞こえてくる。
せっかくアリシアに褒められてテンションが上がっていたのに、急降下してしまった。
私のせいでクラスメイトに煙たがられているアリシアには少し申し訳なく感じている。
でも、アリシアはそんなの気にしないで明るく振る舞っている。無理しているのかもしれない。
私は気にしていないつもりだけれど、少し気にしてしまっている。
キーンコーンカーンコーンと音が鳴る。
退屈な授業の始まりの合図だ。私は勉強が得意な方ではないんだよね。
先生にあてられませんようにと願いながら、
授業を受けて、昼休みの時間になる。
アリシアの弁当は私が作っている。
私とアリシアは一人暮らしをしていて、アリシアは、料理がとても苦手なのだ。
ようやく退屈な授業が終わり、帰りの会を終えてから、部活に行く時間になる。
私は料理部、アリシアは園芸部に入っている。
この学校の料理部は、部員が少なく、ほとんどが幽霊部員となっている。
そのおかげで変な目で見られることも少ない。
さらに、個人個人で自由に料理することができるという最高の部活なんだ!
例えば、揚げ物がなしとか、時間がかかりすぎるものはなしとかのルールはあるけど、それだけ。
そういう訳で、それぞれ違うものを作っていたりする。
部費はまあまあ高いけど。
部室である家庭科室に近づくと、ジュージューという音が聞こえてくる。
家庭科室に入ると、茶髪に茶色い目をした可愛らしい後輩が見える。
彼の名前は、
彼も、アリシアと同じで、私のことを変な目で見てこない。料理のことがとんでもなく好きで、食べ物に関する夢は否定するという考えがないんだと思う。
どうやらお肉を焼いているようだ。
「南先輩!今日は早いですねー!」
朝同じようなことをアリシアから聞いたような気がするんだけど、気のせいかなぁ。
「南先輩は今日は何を作るんですか?やっぱりかぼちゃ料理とか?」
私は大体かぼちゃ料理を作っている。余った部分とかを、かぼちゃの馬車作りに流用している。
「そうだね。かぼちゃの煮物にしようかなぁ」
5時半になり、部活も終わり、かぼちゃの煮物を持って帰る。
少しあたりは暗くなっていた。
作ったおかずは、大体アリシアと私の夜ご飯にあてられる。
今日の夜ご飯喜んでくれるかなーと考えながら帰り道を歩いていく。
そうして私の1日は過ぎ去っていく。
そう、さほど変わらない日常を過ごしていく。
でも、ある日、私の日常にイレギュラーが発生した。
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