かぼちゃの馬車がつくりたい!
桃羽りり
プロローグ
いつだったっけ。
シンデレラというお話に出会ったのは。
みんなが王子様に愛されたいとか、結婚したいとか言ってる時に、かぼちゃの馬車を作りたいと言ってみんなに引かれてしまっていたのは。
大きなかぼちゃの中に入るとか、さらにそれに乗って移動できるとか、そもそも大きなかぼちゃというだけでワクワクしてこない?
まあ、そう思わない人もたくさんいるだろうけど。共感できないとかたくさん言われてきたし。
でも、そんなに引くことでもなかったと思うなぁ。みんなそれぞれの夢があるのに。
瑠歌はソファーの上にねころがりながら、考えていた。
幼い頃にお菓子の家に住みたい思う子供は多い。お菓子の家に住みたいということは、お菓子の家を作りたいということだよね?
お菓子の家は勝手に出てくるわけではないし…
「いたっ!」
棚にぶつかった瞬間、ガタガタガタと音がして、瑠歌の額に積み上がった本などが倒れてきた。
その本の中には、魔法使いの物語もあった。
うーん…魔法か…
幼い頃は魔法とか信じる頃か。
お菓子の家が魔法ででてくるとか思っているのかなぁ。
それとも、お菓子の家が勝手に出ることも含めて夢なのかなぁ。
もう、よくわかんない!
必死に考えてもわからないので、
瑠歌は考えることを諦めた。
と、とにかく、かぼちゃの馬車を作りたいと思うことはお菓子の家に住みたいと思うこととさほど変わらないと思うんだよね。
ただ少し違うかもしれないと言えるのは、その願いはいつまでも私の夢であること。
私は馬車に乗ったことがあるけれど、やっぱり、満足することはできなかった。とても素敵な体験だったけどね。
周りからは馬鹿にされたりもする。
そんな夢見てるの子供かよ?とか言われたりもする。
そもそも変な人と思われることもよくある。
自分と違う、変と思うと静かに私の前から去っていく。
そんなことはわかっている。
私は中学受験していないから、みんなに引かれたまま、人間関係があまり変わらず、友達も少ない。
変な目で周りに見られたとしても、かぼちゃの馬車を作ることは、私にとって大事なことなのだ。
例えば将来の夢とかを馬鹿にされるの嫌でしょ?
私の唯一の親友であるアリシアが、私の夢を応援してくれたのも、かぼちゃの馬車を作ることが大事なことだと思う理由の一つだ。アリシアはかぼちゃが大好物なのだ。
きっと、私が夢を叶えたら喜んでくれるんだろうな。
それが例え現実味のないものでも、目指すのはきっと良いと思うんだよね。
他人に迷惑をかけることじゃないもん。
そういう一連のながれをいつものように1人で考えているけれど、答えが出ないことの方が多い。
「ピピピビピピッ」
とアラームがなる。
その音を聞くと、瑠歌は自分の机の前に座り、ソファーの上にねころんだことによって少しぼさぼさになった髪をまとめて、作業を始める。
今日も瑠歌はひたすらに、かぼちゃの馬車作り計画を立てるのであった。
このお話は、みんなと違うことを悩み、自分に自信がない瑠歌が、自分がやりたいことや、夢に向かってひたすら頑張る物語です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます