第33話

32話:告白と宣言!


    「私と付き合って、千冬」


悲報(朗報)幼馴染が、告白される。

(((…え、えええええええええ!!?)))

さすがに、三人とも告白は想定外すぎて固まってしまう。

「…この流れで告白か!?あの女が何考えてんのか、わかんねー…」

「は、初めて告白の現場なんて見ました…!」

「………。」

小声で、思ったことをそれぞれ口にする。

千里は珍しく、話さないままだ。

「…千里?どーした、いつもみたいに騒がしくねーな」

「千里さん?」

2人は一向に話さない千里を、心配そうに覗き込む。

「…ち、」

「「ち??」」

「…千冬が告白された…」

溜めて出てきた言葉は、現実を受け止めきれなかったような言葉だ。

シリアスになるほど、ショックではなさそうだが、驚きはしているようだ。

「千里さん、大丈夫ですよ!」

何が大丈夫なんだろう、と日菜子は自分で言ってそう思った。

「あいつなら告白なんて何回もされてるだろ笑」

「うん、それは何回か耳に挟んだことがあるから知ってるんですけど…」

どうやら千里が引っかかっているのはそこではないらしい。

「何が引っかかってるんだよ?」

「…その、良く分からないんだけど、今の千冬見てるとモヤモヤする…」

あんまいい気分じゃない、と、消化不良そうにしている。

((…こ、これは…!))

先輩と日菜子が、何か確信したとき。

「…それで、」

「「「……!!!」」」

再び霞草が口を開き、3人は一斉に振り返る。

「それで、どう?」

「……僕は…」

千冬が何か言いかけた時。

「…ちょっと待ったぁぁ!!」

「千里!?」「千里さん!?」

千里が、二人の間を割り込むようにして駆けて行った。

「…え、千里…?!」

「……。」

千冬は驚いた様子、霞草は「誰?この人」と言わんばかりの様子だ。

千冬は千里に気づいた途端、マスクを付ける。

「…私が…」

(また、何言い出すんだ?千里)

(…だ、大丈夫ですか!千里さん…)

隠れることも忘れて、ドキドキハラハラする先輩と日菜子。

「…私が彼女だから!!」

ギュッと千冬の腕を握って爆弾発言をした。

(((…………!!!??)))

これまた予想外の発言。

いつも、クールな千冬が、マスク越しでも分かるほど、顔が赤くなったくらいには、予想を超える発言だ。

(…あれ?私、今なんて言った…???)

言った本人も、突発的に言ったらしい。

言ったあとで、混乱している。

「…色々聞きたいことあるけど…貴方は誰?」

値踏みするように、霞草は千里を上から下と見た。

「千里です!鈴鳴千里…千冬の幼なじみです!」

緊張気味に千里が言う。

「それで、貴方が彼女ということだけど…」

視線は、千冬に向かう。

「…千冬、それは本当なの?」

「……うん」

「…そう。また私は…いいえ。何でもないわ。…詳しい話はまた今度」

「……うん」

霞草は、特に気にもとめることなく、その場を去って行った。

しばらく、シーンとした状況が続く。

((…気まず〜…))

先輩と日菜子は隠れていて、バレていないものの、この場が気まづすぎて、何も言えない。

「…ち、千冬!その、ごめん…。あんなこと言うつもりなくて、突発的に…」

しどろもどろに、話す千里。

未だ混乱中らしい。

「…千里が謝らなくていいよ。……俺は言ってくれて嬉しかったし」

最後はポツリと呟く。

「…え?なんて?」

「…いや、何でもないよ。それより教室戻ろうか。まだ着替えてないでしょ?」

「う、うん。そーだね!」

いつもの千冬に戻り、少し安心したのか、千里もいつも通り返す。

そのまま、2人は仲良く教室へ帰って行った。

残されたのは、先輩と日菜子。

「…こーりゃ、またえらい事になりましたな」

「ですね…」

お互い顔を見合せた。

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