第32話
32話:告白と宣言!
「私と付き合って、千冬」
悲報(朗報)幼馴染が、告白される。
(((…え、えええええええええ!!?)))
さすがに、三人とも告白は想定外すぎて固まってしまう。
「…この流れで告白か!?あの女が何考えてんのか、わかんねー…」
「は、初めて告白の現場なんて見ました…!」
「………。」
小声で、思ったことをそれぞれ口にする。
千里は珍しく、話さないままだ。
「…千里?どーした、いつもみたいに騒がしくねーな」
「千里さん?」
2人は一向に話さない千里を、心配そうに覗き込む。
「…ち、」
「「ち??」」
「…千冬が告白された…」
溜めて出てきた言葉は、現実を受け止めきれなかったような言葉だ。
シリアスになるほど、ショックではなさそうだが、驚きはしているようだ。
「千里さん、大丈夫ですよ!」
何が大丈夫なんだろう、と日菜子は自分で言ってそう思った。
「あいつなら告白なんて何回もされてるだろ笑」
「うん、それは何回か耳に挟んだことがあるから知ってるんですけど…」
どうやら千里が引っかかっているのはそこではないらしい。
「何が引っかかってるんだよ?」
「…その、良く分からないんだけど、今の千冬見てるとモヤモヤする…」
あんまいい気分じゃない、と、消化不良そうにしている。
((…こ、これは…!))
先輩と日菜子が、何か確信したとき。
「…それで、」
「「「……!!!」」」
再び霞草が口を開き、3人は一斉に振り返る。
「それで、どう?」
「……僕は…」
千冬が何か言いかけた時。
「…ちょっと待ったぁぁ!!」
「千里!?」「千里さん!?」
千里が、二人の間を割り込むようにして駆けて行った。
「…え、千里…?!」
「……。」
千冬は驚いた様子、霞草は「誰?この人」と言わんばかりの様子だ。
千冬は千里に気づいた途端、マスクを付ける。
「…私が…」
(また、何言い出すんだ?千里)
(…だ、大丈夫ですか!千里さん…)
隠れることも忘れて、ドキドキハラハラする先輩と日菜子。
「…私が彼女だから!!」
ギュッと千冬の腕を握って爆弾発言をした。
(((…………!!!??)))
これまた予想外の発言。
いつも、クールな千冬が、マスク越しでも分かるほど、顔が赤くなったくらいには、予想を超える発言だ。
(…あれ?私、今なんて言った…???)
言った本人も、突発的に言ったらしい。
言ったあとで、混乱している。
「…色々聞きたいことあるけど…貴方は誰?」
値踏みするように、霞草は千里を上から下と見た。
「千里です!鈴鳴千里…千冬の幼なじみです!」
緊張気味に千里が言う。
「それで、貴方が彼女ということだけど…」
視線は、千冬に向かう。
「…千冬、それは本当なの?」
「……うん」
「…そう。また私は…いいえ。何でもないわ。…詳しい話はまた今度」
「……うん」
霞草は、特に気にもとめることなく、その場を去って行った。
しばらく、シーンとした状況が続く。
((…気まず〜…))
先輩と日菜子は隠れていて、バレていないものの、この場が気まづすぎて、何も言えない。
「…ち、千冬!その、ごめん…。あんなこと言うつもりなくて、突発的に…」
しどろもどろに、話す千里。
未だ混乱中らしい。
「…千里が謝らなくていいよ。……俺は言ってくれて嬉しかったし」
最後はポツリと呟く。
「…え?なんて?」
「…いや、何でもないよ。それより教室戻ろうか。まだ着替えてないでしょ?」
「う、うん。そーだね!」
いつもの千冬に戻り、少し安心したのか、千里もいつも通り返す。
そのまま、2人は仲良く教室へ帰って行った。
残されたのは、先輩と日菜子。
「…こーりゃ、またえらい事になりましたな」
「ですね…」
お互い顔を見合せた。
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